第3章 お互いの距離
作業のスピードはゆくっりではあるが、無駄な動きがなく、具材も均等にきれ、うまく火も通っている。
素材はもちろん、彼女の味付けも抜群だった。
「美味しいです!」
正直驚きであったのは事実である。
「良かったわ、あまり作ったことなかったものですから。」
照れ臭そうに、ほお薔薇色に染めて嬉しそうに手を合わせる。
その可愛らしい姿に思わずほころぶ。
そのあとはお互いの趣味について話したり、散歩をしたりゆったりとした時間を過ごした。
そしてついに問題の夜、お互いに避けていてどうするか決まっていない寝室問題だ。
「私、体小さいですし、ソファーでも十分です。」
確かに、一般的なものより大きいため、寝ることにそう不便を感じないだろう。
しかし、相手はスカンジナビアの姫なのだ。
「いやいや、私がソファーで寝ます。あと・・。嫌でなければこの寝室で寝てたいのですが・・・。」
「でしたら!ベットをお使いください。他の場所で私は寝ますので。」
「いや、そういう問題ではなく、一緒に寝たいのです?」
自分で発言していてやばいと感じた。
これでは下心があるようではないか。
「あの、これは、違って!!!!!!防犯の面で、少し気になりまして・・。」
ちらりと彼女を見れかなり動揺しているようだ。
「あの・・・」
「いや、床で寝ます!」
「そんなこと・・・!」
ベットの上からシーツと毛布を取ると床に寝っ転がる。
おやすみなさいと、無理やり話を切り上げ、電気を消そうと思った時、視線を感じた。
寝室の窓際に誰かいるようだ。
もしかしたら護衛が立っているだけかもしれないが、イザークは引っ掛かりを感じた。