第2章 暁の国
はーー、と長い溜息を吐く。
思春期の恋愛ではないのだ。
条件で好きになるわけではないが、容姿が優れているからだけでは好きになれない。
「彼女を思う気持ちはわかった。だがどうなるかは俺たちの問題だ。」
「うん、わかってる・・・。」
カガリのような性格のものがしおらしくなると急に心配になる。
「カガリ、彼女を1人にしておくのも。」
「ああ!そうだな・・。いや、このまま私たちは帰るよ。よろしくいっといてくれな。あと気をつけて。」
「カガリ!!」
それだけ言い残し嵐のように現れたカガリとその付き人、アスランは挨拶もぜずに帰ってしまった。
あっけにとられたイザークだが、アリアを1人にしていたことを思い出し急いでキッチンに戻る。
とん、とん、とんとゆっくりだが規則正しい音が聞こえてくる。
「おかえりなさい、お話はおすみですか。」
イザークに気づいたアリアが声をかける。
まるで新婚の会話のようだと、勝手に意識してしまう。
「はい、色々と注意されました。」
今更着替えるのも、と思い上だけ脱ぐ。
「私も何か手伝います。」
「ありがとうございます。ではそのジャガイモの皮を向いてもらえますか?」
「カガリ!いいのか!?」
「いいんだ。全部喋ってしまいそうだから・・・。」
「カガリ・・?」
「今回の件、うまく進まなかったらアリアはどうなるかわからない。」
「どういうことだ?」
このお見合い大作戦が大きな意味を持っているようには思えなかった。
大方いつものカガリの思いつきだろうと思っていたが、どうやらそうでもないようだ。
「アリアが外に出れた時点で奇跡なんだ。スカンジナビアに戻って彼女がどうなるかわからない。これが最後の彼女が自由になれるチャンスなんだ。」
「どうしてそんなことがわかるんだ?」
「わかるさ、彼女はずっとスカンジナビアと弟のために生きてきたんだ。スカンジナビアのために、地球軍の高官の元へ降嫁しそうになったこともある。戦争が終わったことでなくなったけど・・・。」
「カガリ・・・。」
「とにかく、彼女を助けたいんだ・・・」
カガリの願いは悲痛であった。この事情をイザークに話さなかったのは彼の人生を尊重してだろう。
アスランはそっとカガリを抱き寄せた。