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胸の扉

第2章 暁の国


海から吹いてくる風が気持ちよく、思わず寝てしまっていた。
誰かの呼びかけに警戒しながら目を開けると、そこには銀髪の青い瞳をした青年がいた。

ああ、この方がイザーク様だ、と瞬時に理解した。

簡単に部屋を説明し、最大の問題であるベットの説明もした。
彼は慌てたものの、紳士的な対応を見せた。

思っていたようなひどい方ではなさそうでホッとする。

しかし、本当に可哀想な人だと思う。
私のような、肩書きしかない女を相手と一週間も暮らさなければならないとは。
彼をプラントの使節団から外したい理由がどこかにあるのだろうか。
それにしては陳腐な作戦だと思う。

それとも、私が用済みになったのだろうか。

「アリア、、その、何を作りますか?」

一国の姫であるためか、彼の態度はどこかぎこちない。

「ポテトのマッシュグラタンはどうですか?あまり料理をしていないので、手際が良いとは言えませんが。」

「いえいえ、私も手伝いますから。」

「ありがとうございます。それよりも、その制服を着替えてきますか?」

言われてイザークはずっとザフトの制服を着ていたことに気づく。

「そうですね。着替えて着ます」

アリアの横を通り抜けようとした時、家の外に気配を感じた。
玄関から遠いせいか、小さく扉が開く音が聞こえたような気がするが、気のせいかもしれない。
しかし、それよりも先に体が反応していた。

彼女を抱き寄せ、素早くかがむ。
一瞬の出来事だが、アリアはおとなしく腕に収まっていた。

「イザーク様・・。」

小さく吐息のような声で囁かれる。

「誰かが外にいます。大丈夫です、私が守りますから。」

この時、ザフトの制服を着ていて良かったと思った。
ゆっくりと銃に手をかける。
意識を集中させる。

手練れではないのか、気配を消し切れていない。
しかし、問題は外にいる大勢の人だ。

なぜこんなにも警備が手薄なのかと疑問に思う。

部屋に入って着た人物がゆっくりと近づくのがわかる。

腕に抱かれている彼女が服を掴む手に力がこもるのを感じた。

思わずイザークも強く抱き寄せてしまう。
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