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❁✿✾ 落 花 流 水 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第21章 熱の在処



職人の言葉へ納得した様子で瞼を伏せ、皮肉めいた笑みを浮かべた。強い武器が流れてくれば流れる程、その分だけ流れる血も多くなる。そんなものを宝と呼べるとは到底思わないが、光秀は敢えて戒めのようにそれを口にした。この手がどれだけ血に塗れていようと、間違っていないと告げた彼女の言葉に応えるよう、せめて必要以上の血は流すまいと、あの時密やかに改めて誓ったのだから。


武器庫内で職人との話を終えた後、外で控えていた九兵衛と共に御殿への帰路を辿る。光忠からの報せが特にないという事は、おそらく凪の容態に変化はないのだろう。
城下町を歩きながら些か険しい面持ちで居る主君を斜め後方で捉え、九兵衛は別件の報告をするべきかと思案を巡らせた。凪を案じている光秀に、今新たな件を告げては彼の負担になるのでは、と考えての事である。しかし九兵衛が何か別件を持っていると勘づいていた光秀は、そのまま自然な所作で視線を流し、路地裏へと部下を誘導した。するりと入り込んだ路地裏の奥、そこで無言のままに促せば、部下は観念した様子で一度瞼を伏せる。

「……実は城下に鼠が入り込んでいるとの情報を耳に致しました」

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