第22章 落花流水 前
吐息混じりに笑いを溢し、瞼をそっと伏せた光秀は口元に柔らかな笑みを刻み、凪を見た。隣を歩く彼女の、美しい蘭の花がゆらゆらと揺れている。
「今度、時間がある時でいいから光秀さんがお茶点ててるところ、見たいし飲んでみたいです。…あ、作法は分かりませんけど」
「お前の為なら幾らでも点ててやろう。何なら、一緒に点ててもいい」
「やった事ないですよ?」
「俺が教えてやる」
地に落ちる影の長さが少しずつ長くなって行く中、並ぶ影が寄り添いながら溶け合った。ひとつひとつ、小さな約束を重ねて過ごす時間にこの上ない幸福を覚えながら、光秀は隣を歩く凪の指を慈しむかの如く優しく絡め直し、御殿への帰路をゆったりとした足取りで辿ったのだった。
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2023/03/21~活動の拠点をTwitterのprivatter及びpixiv(全年齢部分のみ掲載)へ移動致しました。更新は現在も上記にて続けております。
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