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❁✿✾ 落 花 流 水 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第15章 躓く石も縁の端



「それがお前のやりたい事なら、俺は構わない」
「……いいんですか?」

意外にもあっさりと許可を貰えた事に驚き、凪が黒々とした眼を見開くと、光秀は伏せていた瞼を持ち上げ、注がれる彼女の視線を見返す。
そもそも、凪が選び取る方向については見当がついていた。薬学や薬草関連に詳しい家康が凪の実力を認めた時点で、場合によってはそういった話が出て来る可能性も当然考えていたのである。まして、凪がやりたいという意思を、自分本意で曲げる事は出来ない。

「良いも悪いもお前の道だ。お前が好きに決めていい」
「ありがとうございます…!」
「礼を言われるような事ではない。仕事に関して最終的にお決めになるのは信長様だ。その辺りはお前の実力をご覧になった上で、判断されるだろう」
「なるほど…確かにそうですよね。じゃあ認めて貰えるように勉強頑張ります」

色良い返事を貰えて嬉しそうな表情を浮かべた凪を前に光秀も微かな笑みを浮かべた。
光秀の言う通り、それぞれの分野を学ぶところまでは凪の自由であろうが、調薬師といった職を作るとなると医療周辺における体制の見直しが必要となるだろう。その辺りの決定権は光秀にはない為、仕事の件は信長へ話を通す事になる。
光秀の告げた事へ納得した様子で頷き、意気込む姿へ口元を緩めていれば、凪はもう一つ思い出した様子で言葉を発した。

「あと、この国の情勢とか…そういうのを学びたいなって思ったんですけど、三成くんってやっぱり忙しいですか?」
「……ん?」

情勢を学びたい、と言い出した凪を前に光秀は僅かに怪訝な様子を見せる。五百年後の世からやって来た凪は当然現在の日ノ本における情勢に疎い。いつ帰れるか分からない状況だと耳にしている事もあり、そういった周辺知識は確かに必要だと光秀自身も思うのだが、何故三成なのか。

「家康さんに、そういう事なら三成くんか光秀さんが詳しいって言われたんですけど、光秀さんは元々忙しいですし、三成くんもやっぱりそうなのかなって思って」

つまり、最初から忙しそう、といった理由で光秀については選択肢から除外していたらしい。

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