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❁✿✾ 落 花 流 水 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第1章 序



信長の発言に、それまで静かに事の成り行きを見守っていた武将達が思い思いの反応を見せる。
既に凪と彼ら武将は本能寺のくだりや、そこから安土城へ至る道中などで一応は顔合わせ済だ。
…が、当然の如く燃え盛る本能寺からただの女が信長を救ってみせたその過程は酷く不自然に映り、一部の武将からは興味や好奇心、そして疑念の含まれた視線がここに至っても延々と注がれている。

(豊臣秀吉からの眼圧がヤバい…)

信長の決定に真っ向から異議申し立てをする気はないのだろうが、何か良からぬ真似をしたら問答無用で斬ると言わんばかりの圧を険し過ぎる視線で向けられ、凪は極力秀吉の方だけは見ないようにと視線を信長へ固定した。
何の因果か、タイムスリップ直後にして戦国時代を代表する有名過ぎる武将達と短いながらも邂逅した凪は、その最中で出会った唯一の味方と言っても過言ではない一人の青年の姿を思い浮かべる。

(というか、こんな命の危険しかない時代を楽しむとか、そんな難易度高すぎる芸当私には出来ないよ、佐助くん…!)

天下人の女になれ発言の直後、丁重にお断りして脱兎の如く逃げ出した森の中で出会った数人の中で、凪の前へ最後に現れたのが猿飛佐助その人であった。
彼は凪の姿を見るや、驚いたように目を瞬かせ、僅かな逡巡を見せながらもタイムスリップの話を切り出してきたのである。凪の服装がタイムスリップ時のままの現代の私服であった事が切り出すきっかけになったという彼も、同じく4年前にこの時代へやって来て、なんと今では現役の忍者だというのだから、そのフットワークの軽さには驚きを禁じ得ない。
この場に連れられる前、物腰柔らかく石田三成と名乗ったその人が案内してくれた一室で、この時代に則した着替えを与えられた凪の前に、天井裏から音もなく現れた佐助から、3ヶ月後に再びワームホールなるタイムスリップの原因とも言える超常現象が起こる事の予測と共に、それまで何とかこの時代で生き残るようにと言われ、その場の勢いで頷いてしまった事を凪は早くも後悔し始めていた。

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