第7章 ローグタウン
花子の姿を目の当たりにしたバギーは身体が硬直した様に動けずにいた。
「花子〜!助けてくれっ!」
「花子だとっ?!」
目を輝かせ花子に助けを求めるルフィに呆れた様に苦笑いを浮かべる彼女の顔にバギーの心臓がドクドクと早鐘を打つ。
「バギー…その子を離して?」
「っ!黙れっ!」
その顔でその声で自分の名を呼ぶなと顔を歪めるバギーは、現実を受け止めきれず苦しんでいるように見えた。
「お願い…。」
ーバギー。ー
「っ!黙れぇええぇっ!」
優しく微笑む花子の顔が脳裏に過り、それを打ち消すかの様に叫んだバギーがサーベルを大きく振り上げた。
「まずいっ!」
「ルフィっ!?」
ゾロとサンジがルフィを助けに向かおうとするが、バギーの部下に阻まれ動けずにいる。顔を顰め花子が処刑台を斬り落とそうと刀に手を掛けた時、ルフィが声を上げる。
「ゾロ!サンジ!ウソップ!ナミ!奈津子!ユラ!」
俯かせていた顔を上げたルフィの表情にその場にいた者は目を見開いた。今、まさに自分の命が消えようとしているのに…。
「悪ぃっ!俺、死んだ!」
ー自由に生きろっ!ー
ニカッと笑顔を浮かべたルフィがロジャーと重なり花子は今にも泣き出してしまいそうな顔をしている。バギーがサーベルを振り下ろそうとした時、空を覆っていた黒雲から眩い光が辺りを覆い尽くした。
ーーーーーー
バキバキと鼓膜を刺激する爆音。目が霞む程の光に顔を覆う。
「にししっ!やっぱ生きてた!もうけ!」
崩れ落ちた処刑台から現れたのは服の汚れを払い笑顔を見せるルフィと黒焦げになり気を失っているバギーの姿だった。
「っ!ルフィっ!」
「おわっ?!…花子?」
勢い良く飛び付く花子にルフィは首を傾げる。自分を抱き締める彼女の身体は微かに震えていた。
「馬鹿っ!2度とあんな事言わないでっ!」
「あぁ〜…悪ぃ、悪ぃ!」
「…おい。お前、神を信じるか?」
「馬鹿言ってねぇでさっさとこの街を抜け出すぞ。もうひと騒動ありそうだ。」
ルフィを助けるかの様に落ちた雷。天が彼に味方したのかとポツリと呟くサンジにゾロは呆れた表情を浮かべ、ルフィに小言を言っている花子に声を掛け広場を後にした。