第16章 ガレオン船
一先ずガレオン線から引き上げた荷物を調べてみるが、"空島"の手掛かりになりそうな物は見付からなかった。
「情報が命を左右するのに何?このガラクタは!錆びた剣、食器!それに生タコ!必要なのは【日誌】とか【海図】とかそう言うのよ!」
苛立たしげに声を荒げガラクタを踏み付けるナミにゾロとサンジは折角見付けた物が壊れないかアタフタしている。
「見ろ!ユラ鎧だぞ!かっけぇだろ!」
「うん!かっけぇ!」
「ユラ、格好いいでしょ?…それにしても見事にガラクタばかりね。」
鎧を着たルフィとそれを楽しそうに見ているユラを横目に、引き上げられたガラクタの山を見つめ花子は苦笑いを浮かべる。そんな様子を眺めていたロビンがナミにエターナルポーズを差し出した。どうやら騒ぎに紛れてゴリラ男の船から盗んだらしい。ナミはまともなクルーがいた事に涙を流す。エターナルポーズに記されているのは"ジャヤ"。そこで"空島"への情報収集する事にした一味は舵をきる。
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「良い天気だね、おかあさん。」
「そうね〜。」
気候も安定し暖かい陽気の中、花子とユラは甲板で日向ぼっこをしていた。
「おお!ここにいたのか!」
今にも眠ってしまいそうな2人にウソップが笑顔で近付いてくる。何かあったのかと首を傾げると、ふふんっと鼻を鳴らしユラに何かを差し出した。
「ユラにくれるの?」
「よく考えりゃユラの遊ぶモンって無かっただろ?材料無くてこんなモンしか作れなかったけどよ。」
ウソップが差し出したのは竹とんぼだった。海賊船に乗っているからと言ってもユラはまだ幼い。何か玩具が欲しいだろうと言う彼なりの気遣いだった。
「っありかとう!」
「お…おう!そんなモンだったらいくらでも作ってやるよ!」
とは言っても女の子の好む物など分からない。玩具を受け取り俯くユラに少し不安気なウソップだったが、キラキラと目を輝かせているユラに得意気に鼻を擦る。
「良かったわね、ユラ。」
「うん!皆に自慢してくる!」
嬉しそうに駆け出すユラを見つめ満足そうなウソップの頭に花子の手がそっと乗った。
「ありがとうね、ウソップ君。」
「へへっ、こんぐらいお安い御用だ。」
柔らかく微笑み頭を撫でる花子にたまには良いものだとウソップは照れ臭そうに顔を綻ばせていた。