第7章 ローグタウン
花子 side
「本当に行かなくて良かったの?」
「うん!」
ルフィ達を見送った私達は何をする訳でもなく、ナミの蜜柑畑の木陰で私の膝に頭を預け寝そべるユラに尋ねた。
「ねぇ…おかあさん…カイゾクオウってどんな人だったの?」
「え?」
ユラがそんな事を聞くなんて珍しいわね。キョトンとしてユラに目を向けると、ユラは大きな瑠璃色の瞳で私を見上げていた。
「そうね…とっても…真っ直ぐな人だったわ。」
ロジャーはあの場所から私を連れ出してくれた…私に大切な事を教えてくれた…。少し考えなしなところはあったけど、自由に生きる彼の姿は私には凄く輝いて見えた。
「私にとって…ロジャーは光だった…。」
「じゃあ…ユラにとってのおかあさんと一緒だね!」
ムクッと起き上がったユラは私の膝に向き合う様に座りぎゅっとしがみ付く。
「真っ暗で…凄く寂しくて…だからあの時、おかあさんがユラを見つけてくれて嬉しかった!」
あの時、あの場所から自分を連れ出してくれた私はキラキラと輝いて見えたと、溢れんばかりの笑顔で言うユラに私の胸はきゅっと切なくなる。
「ねぇ…ユラ…今、幸せ?」
「ユラはね!おかあさんと一緒にいれてとっても幸せだよ!」
本当は少し不安だった。アーロンの事もあって私と一緒にいる事がユラにとって辛くなっているんじゃないかと。
ーお前は…俺といて幸せだったか?ー
(ロジャー…私は…貴方と出会えて…貴方と一緒にいれて幸せだったわ…。)
甘える様に抱き着くユラを抱き締める私の周りに何処か懐かしく優しい風が包み込んだ。
ーーーーーー
ルフィ達を見送って暫く経った頃、空は晴れているにのヒヤリと冷たい風が頬を撫でる。
(天気が変わりそうね…。)
どれくらい荒れるか分からないけど出発を早めた方がいいかもしれないわ。そう思い分身を使ってルフィ達を呼びに行こうとした時、大きな袋を抱えたナミが慌てた様子で戻って来た。
「花子さん!サイクロンが来る!」
「やっぱり?」
流石はナミ。島にいても空気の変化で何が来るかわかるなんて。ウソップ君がルフィ達を探しに行ってくれているらしいから私も向かおうとした時。
「ルフィは処刑台にいる筈!」
ナミの言葉に一瞬身体が強張る。私はきゅっと唇を噛み彼等を探す為船を下り街へ駆け出した。