第7章 ローグタウン
ナミ side
まったく…この馬鹿共はっ!事の重大さを分かってんの?!ルフィの手配書が出てはしゃぐ男共に頭が痛くなる。
(花子さん…海賊だったんだ。)
彼女が元海賊だと知った時は驚いたけど…それよりも私は先程の花子さんの表情が気になった。
(何で…あんな顔をしたんだろう…。)
"ローグタウン"に向かう事が決まった時、花子さんは一瞬顔を強張らせた。何か大切なものを失った様な、切なそうなそんな表情。
(私…花子さんの事、何も知らないんだ…。)
突然、現れた彼女。初めはアーロンの仲間かと思って警戒していたけど、村の為に色々としてくれた花子さんには感謝しかない。
(いつか…話してくれるかな?)
花子さんの過去に何があったのか。今はまだ教えてくれないかもしれないけど、いつかちゃんと話してくれる日が来たらいいな…。
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「着いたぁー!!」
"ローグタウン"に到着した麦わらの一味。海賊王が生まれた場所と言う事でルフィのテンションは急上昇している。今にも飛び出して行きそうな彼は溢れんばかりの笑顔で花子に顔を向けた。
「早く行こうぜ!花子!」
「え…。」
ルフィに誘われた花子は戸惑いを見せるも困った様な笑顔を浮かべた。
「…私は…船で待ってるわ。」
「えぇー?!何でだよっ?!」
「私はここに来た事あるし…誰か船の見張りをしていた方がいいでしょ?」
ユラにとって初めての大きな島。本当は色々と見せてあげたい気持ちはあるが、花子はどうしてもこの島に降りる事が出来なかった。
「その代わりユラを連れて行ってあげて。」
「…分かった。」
少し不満そうにしているルフィに微笑みかけ抱えているユラを彼に任せようとした時、ユラはきゅっと花子の首に抱き着き顔を横に振る。
「…いい。ユラもおかあさんと待ってる。」
「折角来たのに行かなくていいの?」
「うん…ユラ、おかあさんと一緒にいたい!」
いつもこの日は悲しそうにしている花子。キンジに聞いてみてもそっとしておいてやれと言うだけで理由は分からないが、今は彼女の側にユラはいたかった。