第6章 魚人と人間
宴が開かれている村から少し離れた岬をゲンゾウは訪れていた。そこはナミとノジコの育ての母であるベルメールが眠っている場所。
「ベルメールよ…お前の娘達は逞しく育っているぞ。」
掲げられている十字架に酒を浴びせ生前の彼女を見ている様だと懐かしそうに話す。アーロンの支配から解放されこれから自分達は精一杯生きると…。
「生ハムメロンっ!」
「?!」
本当はそんな娘達の姿を1番近くで見ていたかっただろうにと、ふと顔に影を落とすゲンゾウの背後に両手に沢山の肉を持ったルフィが現れた。宴の最中、サンジが食べていた生ハムメロンを求め彷徨っていた彼は何故かこの場所に辿り着いた。
「あれ?この辺食い物ねぇな…?戻ろ〜。」
「待てっ小僧っ!」
辺りを見渡し自分を気にする事無く戻ろうとするルフィをゲンゾウは声を荒げ引き止めた。
「おい小僧。ナミはこれからお前の船に乗る…海賊になる。」
海賊になれば危険は付き物。本当ならば娘の様に可愛がっていたナミにそんな事はさせたくない。しかし、彼女の笑顔を取り戻したのは紛れもないルフィだ。
「お前達がナミの笑顔を奪う様な事があったら…私がお前を殺しに行くぞ。」
「うん、まぁ…俺は別に奪わねぇけどさ。」
軽く受け流すルフィに分かったかとゲンゾウから激が飛び、彼の気迫に押されたルフィは頷く事しか出来なかった。
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「ふふっ、可愛い娘を持つと大変ですね。」
「…見ていたのか。」
宴の会場に戻るルフィを見送ったゲンゾウに花子はくすくすと可笑しそうに笑いながら近付いて行く。
「ルフィなら大丈夫ですよ。ちょっと自由なところはあるけど、ナミを傷付ける様な事は絶対しません。」
「…そうか。」
自分の腕の中で穏やかな寝息を立てているユラを見つめ微笑む花子の姿が、あの頃のベルメールと重なりゲンゾウはふと表情を和らげた。
「お前にも世話になったな。」
「私は何も…。」
「ノジコから聞いたぞ。私達の分もアーロンに金を払ってくれていたんだな。」
お陰で村の者達の生活が楽になったと頭を下げられ、花子は居心地悪そうに苦笑いを浮かべる。
(それにしてもルフィたら…ご愁傷様も言えないなんて…。)ちゃんと勉強させておくんだったわ
(…お前にも苦労するな。)
(まぁ…そこが可愛いんですけどね。)