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海賊王の懐刀

第6章 魚人と人間


自由の身となった村人達は村を救ってくれたお礼とルフィ達を盛大に饗した。喜び合う村人達の声を聞きながら花子は家に備え付けてある電伝虫を手に取る。

ぷるぷっ…がちゃっ

《花子はぁん〜♡今回はお疲れ様〜!》

「…相変わらずね。」

ニヨニヨと目尻を垂れさせハートが飛んでくるのではないかと言う程、猫なで声を出す電伝虫に花子は苦笑いを浮かべる。

《いやぁ〜!予想以上の収穫や!これであいつも海軍にはおれんやろ!》

「まぁ…殆どはルフィ達のお手柄だけどね。」

ネズミの不正の証拠を海軍に伝えれば彼はもう海軍にはいられないだろう。第16支部にはまた新しい者が就任しココヤシ村も守られると言うキンジに花子はホッと安堵の表情を浮かべる。

「それにしてもルフィもそこにおったとわなぁ〜。」

「私も驚いたわ。でも、素敵な仲間を見付けたみたいよ。」

少し前に会ったルフィの周りには信頼し合える仲間が集まっており、立派な船も持っているのだから彼が海賊王になる日も近いのではないかと、花子は戯けた様に顔を綻ばせる。

「後ね、少し気になる事があったの。」

「どないしたん?」

キョトンと目を丸くする電伝虫に花子は神妙な面持ちで口を開く。ユラがイルカの言葉を分かる事。そして彼女の頭を過るのはアーロンの言葉。

ーお前…【ユラヒメ】って知ってるか?ー

「…ユラヒメなぁ。」

「私もロジャーから話を聞いた事ぐらいなんだけど…。」

知らないと首を横に振った花子にアーロンは馬鹿にした様に鼻で笑いハチ達と戯れているユラを見つめた。その瞳は人間に向ける様なものでは無く、愛おしい様な…そんな優しい色をしていた。

「ウチもよぉ知らんけど…カジヤ様やったら何か知っとるんやないか?」

「…カジヤ様ねぇ。」

以前、意を決して恩師に連絡をした事を思い出す。勝手な事をして怒られるだろうか?それとも心配したと涙を流すだろうか?そんな事を思って身構えていたのに電伝虫から聞こえたのは、甘える様な色のある女の声とダラシのない恩師の声だった。

ーこの…馬鹿娘が。ー

しかし、ふと聞こえた優しい声。自分の無事を心から喜んでくれた恩師の事を思い出し花子は1人顔を綻ばせていた。

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