第6章 魚人と人間
花子 side
これは…ルフィの気配?大きな破壊音が聞こえ覇気でパーク内を探っているとルフィの気配がした。他にもあの少年と後2人別の気配。
「ふふっ、素敵な仲間を見付けたのね。」
ユラもルフィの所にいるみたいだしもうここにいる理由は無いわね。私はチャクラを両腕に集中させ力を込め鎖を引き千切った。
「さてと…それじゃあ私は自分の仕事をするとしましょう。」
針金で錠を外し凝り固まった肩を回しながら私は目的の場所に向かった。
ーーーーーー
「あの女はこれからも海図を描き続ける!俺の野望の為にな!」
アーロンとの交戦中ルフィはパーク内のある部屋に逃げ込んだ。そこには大量の紙が積み重なっておりその紙は全てナミが書いた海図だとアーロンは得意気に言う。
「そしてその海図で世界中の海を知り尽くした時、俺達魚人には敵は無くなり世界は俺の帝国になる!」
声高らかに野望を口にするアーロンには目もくれず、ルフィは床に転がる羽ペンを拾い上げた。血が染み付いたペンはまるでナミの心の様にボロボロになっていた。
「てめぇにこれ程効率良く…あの女を使えるか!」
「…使う?」
「花子もそうだ!あの女には利用価値がある。」
「…利用価値?」
ーおがあさんっ…いなぐなっちゃったっ…!ー
ボロボロと涙を流し自分にしがみ付くユラを思い出す。大好きな母に会えずあの少女はどれ程不安だっただろう。ルフィは首元に翳されたキリバチを掴みその刃を握り潰した。獲物を破壊され一瞬、怯んだアーロンに構う事無くルフィは怒りに任せ机を蹴り飛ばした。
「なっ、何だっ?!」
「…机?」
パークの外では麦わらの一味、そしてナミやココヤシ村の人達がルフィ達の戦いを固唾を飲んで見守っていた。パーク内の様子は分からず突然飛び出したものが一瞬、ルフィかと思ったがそれが机だと分かり安堵の息を漏らす。
「あの机は…。」
しかし、ナミだけはその机に見覚えがあった。アーロンに怯え只、海図を描く事だけを強要された8年間。
「ルフィ…。」
次々と外に投げ出される家具や海図にその場にいる者は困惑するが、ナミはあの悪夢の様な日々から解放された様に思えきゅっと唇を噛んだ。