第6章 魚人と人間
プールに飛び込んだゾロを助けたナミの行動にアーロン一味からは不穏な空気が流れるも、自分が始末するから牢屋に閉じ込めておけと言い放つ。
「アーロンさん!すまねぇ…あいつの仲間でもう1人鼻の長い奴がいたんだが…取り逃がしちまった!」
(何だ、ウソップの野郎…!結局、見付かっちまいやがったのか!)
ココヤシ村に逃げ込んだと言う部下に含みのある笑みを浮かべゆっくりと立ち上がるアーロンにナミは何も言わずキツく拳を握り締めた。
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花子 side
(何だか騒がしいわね…。)
外から聞こえる声に覇気で様子を伺っているとアーロンの部下が男の子を抱えこちらに近付いてくる。大人しくしていろと投げ捨てられた男の子の身体には包帯が巻かれており、傷に触ったのか顔を歪めていた。
「…大丈夫?」
「いってぇ…あぁ、平気…どわぁっ?!」
人がいると思わなかったのか、私を目にした彼は化け物を見た様に驚き身体を仰け反らせていた。
「君は何でここにいるの?」
「あ?俺ぁ…女を追って来たんだ。」
あら、随分情熱的ね。逆に何でお前はここにいるんだと尋ねられどう答え様か悩んでいると、コツコツとこちらに近付いて来る足音が聞こえた。
「っ?!花子さんっ?!」
「あら、ナミ。」
牢屋に入って来たナミは張り付けにされている私に目を見開き慌てた様子で駆け寄ってきた。何故、こんな所にいるのか、その怪我はどうしたのかと心配そうな顔をするナミを少年は苦々しげに睨み付けた。
「てめぇナミ!さっきはよくもっ「今、あんたに構っている暇無いのっ!」
「ナミ、駄目でしょ?折角、迎えに来てくれた恋人にそんな事を言っちゃ。」
「「…はぁっ?!」」
心配してくれるのは嬉しいけどこんな怪我までして迎えに来てくれた恋人にその態度はいただけないわ。優しく言い聞かせる私にナミと少年は素っ頓狂な声を上げた。
「てめぇ、ふざけんなっ!誰がこんな魔女みたいな女をっ!?」
「私だってあんたみたいな男、お金を積まれても願い下げよっ!?」
「あらあら、2人共照れちゃって可愛い。」
若いっていいわね、なんてほっこりしてじゃれ合う2人を見つめていたら、何故か力無く項垂れていた。