第6章 魚人と人間
「もう1度聞く…お前は何しにここへ来た?」
「だから女1人探してるっつってんだろ!半魚野郎!」
身体中に包帯を巻き男はアーロンを睨み付ける。彼の名はロロノア・ゾロ。元々、海賊狩りをしていたがある事をきっかけにルフィの仲間となった。海上レストラン【バラティエ】でルフィと別れた彼は仲間のウソップと弟分のジョニーと共に、ナミを追ってココヤシ村まで辿り着いたのだが運悪くアーロンに捕まってしまった。
「その馬鹿みたいな説は聞き飽きたわ!アーロン!」
ゾロにどれ程魚人が優れているか説明をするアーロンにパーク内から現れたナミが苦々しげに声を荒げる。親しげにアーロンと会話をするナミにゾロは驚愕する。
「何だ、お前の知り合いかよ?」
「馬鹿言わないで!只の獲物よ。騙されたとも知らずノコノコ追ってくるなんて…信じられない馬鹿ね。」
「これがてめぇの本性か?あれ程海賊を憎んでいたのに。」
全て芝居だとゾロを嘲笑うナミは剥き出しになっている左肩をゾロに見せる。そこにはアーロンパークに掲げられている旗と同じマークが刻まれていた。
「私は紛れもない海賊!アーロン一味の幹部よ!」
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ナミがアーロンの仲間だったと知りゾロは言葉を失う。共に行動していたのは利用する為だと言うナミにアーロンは愉快そうに笑い声を上げる。
「シャーハハハー!こいつはな、金の為なら親の死さへ忘れられる冷血な魔女の様な女だ。」
「っ!」
アーロンの言葉にナミの顔が一瞬暗くなる。何も言わず彼女の様子を伺っていると、何処からか子供の様な声が聞こえてきた。
「アーロン!ナミをイジメないで!」
「…ユラ?」
「餓鬼?」
頬を膨らませアーロンを睨み付けるユラにナミは目を見開き、ゾロは怪訝そうな顔で彼女を見つめる。
「何だ、ユラ。大人しくしておけって言っただろう。」
「だってアーロン、ナミにひどいこと言った!ナミ優しいもん!ナミをイジメたらおかあさん怒るよ!」
ユラの言葉にアーロンの顔が微かに強張る。プリプリと怒るユラの頭を撫でアーロンは彼女を抱き上げた。
「ユラ、ちゃんと俺の言う事を聞かねぇと花子は帰って来ねぇぞ。」
「う…。」
「良い子にするんだろ。…あっちに行ってろ。」
その声はとても優しく、ユラに対するアーロンの態度にゾロは疑問を覚えた。