第6章 魚人と人間
花子 side
アーロンが呼んでいると訪ねて来たチュウとクロオビに連れられ私とユラはアーロンパークに向かった。何故だが分からないけど彼等の雰囲気に違和感を感じる。
「…なぁ、花子は魚人の事をどう思う?」
ふとチュウがそんな疑問を投げ掛ける。その表情は何処か辛そうでまるで何かに縋る様だった。
「あなた達は嫌かもしれないけど…私は魚人も人間も同じだと思っているわ。」
「…そうか。」
種族なんて関係無い。彼等魚人も私達と変わらない1人の人何だもの。私の言葉にホッとした様な顔をしたチュウとクロオビは力無く眉を下げる。
「…アーロンさんも…もっと早くお前に出会えていたらな…。」
「…何の「着いたぞ。」
ふと呟かれたチュウの言葉に口を開こうとしたけどクロオビに遮られた。アーロンパークに着き中に入った私の腕からチュウがユラを受け取る。
「こっからはお前だけだ。」
「…分かったわ。」
私達を見つめるアーロンの部下達の雰囲気に只事では無いと感じる。不安そうに私を見つめるユラの頭を撫で、付いて来いと言うクロオビの後を追った。
ーーーーーー
「…中に入れ。」
案内されたのは暗い牢屋。微かに血の臭いが漂う部屋に一瞬緊張が走る。
「…どう言う事?」
「…大人しくしてろ。」
鎖の付いた枷を嵌められ壁に私を張り付けにするクロオビの顔はとても辛そうな表情をしている。訳が分からず戸惑う私を前に牢屋に入って来たアーロンが口を開いた。
「…来たか…愚かな人間よ。」
ギラギラと鋭い眼光で私を見下すアーロンの瞳に言葉を失う。いつもの柔らかいものでは無く憎しみに染まった色をしていた。
「…何があったの?」
「黙れ、下等種族。お前と同じ空気を吸っていると思うと反吐が出る。」
顔を歪め近付いて来るアーロンはその大きな手で私の首を掴んだ。
「かっ…はっ…!?」
「お前等、人間は愚かだ!種族が違うと言うだけで蔑み忌み嫌う!…汚ぇ下等種族だっ!」
苦しさに顔を歪める私をまるでゴミを見る様な目でアーロンは見つめる。でも、私には彼が泣いている様に見えた。
「こわっ…がらないで…。」
「怖がる?俺が?」
嘲笑うアーロンは何かに苦しんでいる様で…そんな彼に胸が苦しくなる。
(泣かないで…。)