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海賊王の懐刀

第5章 ココヤシ村


会いたかったとしがみ付くルフィを花子は優しく抱き返し頭を撫でた。

「仕事…終わったのか?」

「まだよ。でも、ルフィが海賊になる記念すべき日だもの。ちゃんとお祝いしないと。」

余り長居は出来ないが旅立つルフィに花子は直接会ってお祝いしたかった。合間をぬって自分に会いに来てくれた事にルフィの胸に温かなものが流れ込む。

「そうだ。ほら、ユラ。」

「うん!ルフィ!おたんじょうび、おめでとう!」

「ん?何だ?」

ルフィから身体を離し花子はユラに優しく微笑みかける。ユラは大きく頷くとポケットから赤と黄色の紐で編まれたミサンガを取り出した。

「ユラと一緒に作ったのよ。お誕生日のプレゼント。」

「いっぱい気持ちこめて作ったんだよぉ〜!」

「サンキュー!」

嬉しそうにそれを受け取ったルフィは少し考えた後、帽子のリボンに縫い付けてくれと言う。

「帽子に?腕に着けないの?」

「俺、戦うの素手だしよ。切れて失くしたら嫌だからこっちがいい!」

ニッと歯を見せ笑うルフィに花子も微笑み返すとウエストポーチからソーイングセットを取り出し、ミサンガを帽子のリボンの内側に縫い付けていく。

「花子達はいつ戻るんだ?」

「これが終わったら直ぐに戻る予定よ。」

「そっか…。」

一針一針丁寧に縫い付けていく花子を見つめ穏やかな空気が流れる時間をルフィは心地良く感じていた。

「はい、出来たわよ。」

「おっ!サンキュー!」

渡された麦わら帽子を被り嬉しそうに笑顔を見せるルフィに花子は懐かしそうに見つめる。

「花子…俺は海賊王になる!」

「うん。」

「今はまだゴールド・ロジャーみてぇな大海賊にはなれねぇかもしれねぇけど…いつか、絶対に海賊王を超える海賊王になるからよ!」

キラキラと輝く笑顔で力強く言うルフィに花子とユラも嬉しそうに微笑みかけた。

「ルフィならきっとなれるわよ。」

「ルフィ、ふぁいと〜!」

「だから、俺が海賊王になる時はお前は俺の隣にいろよ!」

ー俺の隣にいろよ。ー

真っ直ぐな瞳で自分を見つめるルフィがロジャーと重なり花子は切なくなる胸をきゅっと押さえ、彼の額にそっと口付けた。

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