第5章 ココヤシ村
「なぁ〜、キンジ〜!花子とユラはまだ帰って来ねぇのかよぉ〜!」
「せやなぁ〜。」
キンジに修行をつけてもらっていたルフィは岩に胡座をかき拗ねた様に頬を膨らませている。花子達がフーシャ村を出て2年が経つ。
「明日、俺海に出るのによぉ…。」
明日はルフィが海に旅立つ日。エースに続きやっと自分も海賊になれる記念すべき日に2人がいない事をルフィは落ち込み項垂れている。
「花子はんも忙しいんや。そうブーたれるなや。」
「…見送ってくれるって約束したのに。」
自分が仕事を頼んでしまった手前、寂しそうにポツリと呟くルフィにキンジは少し罪悪感が募り、それを誤魔化す様にぐしゃぐしゃと彼の頭を乱暴に撫で回した。
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ルフィ side
何だか寝れなくて俺はエースが旅立った岬に座り海を眺めていた。そう言やぁ…花子を見つけたのもここだったな…。
「花子…。」
花子はいつも優しくて…でも怒ると凄ぇ怖くて…。姉ちゃんみたいな、母ちゃんみたいなそんな存在…。
「花子のアホ〜…戻って来るって約束したじゃねぇかよぉ…。」
折角、海に出るのにちゃんと見送ってくれねぇと俺は嫌だ…。
「会いてぇなぁ…。」
また、あの温けぇ笑顔が見たい…頑張れって頭を撫でて欲しい…。花子の顔を思い浮かべていると何か急に寂しくなった。
「花子の馬鹿野郎…。」
エースの次は俺の番だって楽しそうに言ってたじゃねぇか…。絶対に約束は守るって…。
「酷い言われようね。」
「?!」
「ルフィ〜!」
後ろから声がして振り返るとそこには困った様に笑う花子と花子に抱えられ俺に手を振るユラがいた。
「なんで…?」
「なぁに?私達に会えて嬉しくないの?」
「だって…まだ仕事が…。」
まだ仕事が片付いてないって…だから、戻って来れないと思ってた…。なのに…いる筈の無い2人が俺の目の前にいる。
「約束したじゃない。ルフィが海に出る日はちゃんとお見送りするって。」
「っ!」
「ルフィ!おたんじょうび、おめでとう!」
にっこりと微笑む花子に俺はきゅっと胸が苦しくなって、気付けば2人に飛び付いていた。
「会いたかったっ…!」