第5章 ココヤシ村
ナミ side
ノジコの馬鹿っ!何であんな女なんかの肩を持つのよっ!家を飛び出した私は苛立ちを抑える様に無我夢中で走った。あの女の事を話すノジコは凄く彼女の事を信頼している様に見えた。
(私が、化けの皮を剥いでやるっ!)
どうやってノジコを誑かしたかは分からないけど、あの女を見張っていればきっとボロを出す筈!ノジコはっ、この村は私が守るんだからっ!
「しかしアーロンさん、あの女いつまで持ちますかね?」
「あ…。」
気付けば私はアーロンパークの前まで来ていた。何も考えなくても戻って来るなんて…。いつになったら私は自由になれるの…?
「さぁな…3ヶ月しか経ってねぇからまだ分からねぇよ。」
「あの女も馬鹿だよなぁ〜!あんな奴等の為にここまでするなんて。」
物陰に身を潜めアーロン達の様子を伺っていると、奴等は何やら楽しそうに話している。
「にゅ〜…でも花子の奴、大丈夫かなぁ…。たまに遅く帰ってくる事もあるしよぉ〜…。」
「ハチ…お前は優しく過ぎる。」
「でもよ、アーロンさん…花子に何かあったらユラが悲しむ…。」
眉を下げ心配そうにしているハチにアーロンは呆れた表情をしている。一味の中でもハチはわりと穏和な方だから、少なからず良心が痛むのかもしれない。
「あの女が言い出したんだ。村の奴等の金も倍で払うから奴等には手を出すなと。」
「?!」
そんな…じゃあ、ノジコが言っていた事は本当なの…?
「それに花子がくたばってくれりゃあ、俺としても都合が良い。あいつがいなくなれば【ユラヒメ】は俺達のもんだ。」
「じゃあ次にあの女が海に出た時、殺しますか?」
このままじゃ、あの女が殺される!?私には関係無い事なのにゲラゲラと下品な笑い声を上げるアーロン達に胃の辺りがムカムカと気持ちが悪い。
「いや、止めとけ。お前等じゃ花子勝てねぇよ。それにあいつはまだ利用価値がある。使える内に使っとかねぇとな。」
「流石、アーロンさん!」
「っ!」
アーロン達の話を聞いていられなくなって奴等に気付かれない様に私はアーロンパークを飛び出した。