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海賊王の懐刀

第2章 貴方の宝物


花子 side


ー自由に生きろ!ー

「ロ…ジャー…?」

最後に見たあの人の顔…。優しくて温かい私の大好きな…。

「ここは…?」

目を覚ますと天井が目に映る。身体を起こし辺りを見渡すとそこはベッドの上だった。

「私は…。」

ロジャーが処刑されると知って彼に会いに行って…。あの人、自分が殺されるって言うのに笑ってたわ…。

「っ…ロジャー…!」

会いたい…声が聞きたい…。彼を失った悲しさから左手首にある腕輪を包み込む様に抱き締めた。

「…良かった!目を覚ましたんですね!」

(…誰?)

ガチャと扉が開く音に身構えると綺麗な女性が一瞬驚いた顔をするも安堵の表情を浮かべ入ってきた。

「貴女、3日も眠り続けていたんですよ!本当に良かった…。」

「貴女が…助けてくれたんですか?」

マキノと名乗った女性が言うには、ルフィとエースと言う少年が打ち上げられている私を見付け彼女の所に連れてきたらしい。

(エース…。)

その名前にふとロジャーの言葉を思い出す。あれは自分の子供の名前をどうするか決めていた時かしら…。

ー男だったら【エース】!女だったら【アン】だ!ー

(まさか…ね。)

子供が生まれていたとしてもまだ赤ちゃんの筈。何か温かい物を持って来ると部屋を出て行ったマキノさんと入れ違いで、バタバタと騒がしい足音が外から聞こえてくる。

「あいつ、目ぇ覚ましたのか!?」

「あっルフィ!彼女は目を覚ましたばかりだから騒がないの!」

バンッと勢い良く扉が開かれ飛び込んできた少年は嬉しそうにニカッと破顔させた。

「お前、気が付いたんだなぁ!」

「えっと…君は?」

「俺はモンキー・D・ルフィ!海賊王になる男だ!」

海賊王と言う言葉。麦わら帽子を被り太陽の様な笑顔を見せるルフィ君は何処と無くロジャーを思わせる。

(…モンキー・Dって…もしかして…。)

「おい、ルフィ!勝手に飛び出して行くなよ…。」

「だってよぉ、エース!こいつ3日も寝てたんだぞ!」

聞き覚えのある名前にある人物の顔が頭に浮かぶ。すると呆れた様にルフィ君を叱る声が聞こえてくる。

「っ?!」

入ってきた人物に私は自分の目を疑った。だって…彼の顔が…。

(ロ…ジャー…?)

余りにもあの人に似ていたから…。

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