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海賊王の懐刀

第5章 ココヤシ村


アーロンパークに連れて来られた花子達はパーク内の1室に通された。椅子に座る様に促され腰を下ろさした花子の両手は後ろに枷を嵌められた。

「女1人に随分慎重なのね。」

「念には念をだ。」

嫌味を含んだ花子の言葉など気にする様子はなくアーロンはドカリと椅子に腰掛けるとゆっくりと口を開いた。

「お前達は何故ここに来た?」

「海賊に拐われて命からがら逃げて来てここまで辿り着いたの。」

2人の格好はお世辞にも綺麗とは言えないものだ。これも潜入の為にキンジから渡された物だが、そんな事を知らないアーロンは探る様な視線を彼女に送る。

「私達は行く所がないの。この島に住まわせてくれないかしら?」

「…お前の様な得体の知れない奴を置く事は出来ねぇ。」

思ったよりアーロンは慎重な男の様だ。こうなれば強行突破かと腕に力を入れ様とした時、花子の膝に座っていたユラが飛び降り彼に近付いて行く。

「お名前なぁに?ユラはユラだよ!」

「あ?」

「ユラ!こっちに来なさい!」

ニコニコと自分を見上げるユラにアーロンは怪訝な顔で見下ろす。だが、下等種族だと蔑んでいるのに不思議と物珍しそうに自分を眺めるユラに嫌悪感を感じなかった。

「ねぇ、お名前は?」

「…アーロンだ。」

「アーロン!アーロンはユラ達と違うの?」

「当たり前だ!魚人こそが至高の種族!万物の霊長は魚人だ!お前等、下等種族と一緒にするな!」

ギラギラと憎しみの籠もった瞳で見つめられるも理解の出来ていないユラはキョトンとした後、ばぁっと花が咲いた様な笑顔を彼に向ける。

「じゃあアーロンは強いんだね!」

「…この餓鬼は馬鹿なのか?」

「…素直だと言ってくれるかしら。」

凄い凄いとはしゃぐユラの態度に今まで魚人だと忌み嫌われていたアーロンは呆れた表情を浮かべる。無遠慮にペタペタと足を触るユラを鬱陶しそうに首根っこを掴んだ瞬間、アーロンの表情が一変した。

「…。」

「きゃぁ~!たかぁい〜!」

「ユラ!」

投げ飛ばされると立ち上がろうとした花子はユラを抱え直し彼女を見つめるアーロンの表情に目を見開いた。

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