第4章 瑠璃色の瞳の少女
エースが旅立って早1年が経ち、初めは寂しそうだったルフィやユラも今は元気に暮らしている。遊んでいる2人を眺めている花子の元にキンジが訪ねてきた。
「花子は〜ん!ちょっと話があんねんけど。」
「分かったわ。」
2人に少し席を外す事を伝え森の中に入って行くキンジの後を追った。
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「それで?話って言うのは仕事?」
「せやねん。」
戯けた笑顔のキンジにの顔が真剣な表情に変わり今回もまた厄介な仕事なのだろうと花子は心の中で溜め息を漏らす。
「今回の仕事は潜入調査なんやけど、これがちょこぉっとだけ厄介でなぁ〜。」
キンジ曰く、最近イーストブルー周辺である海賊が暴れているらしい。村に膨大な金を要求しそれに従わなければ村を潰す。普通なら海軍の出番のだが何故か海軍は動こうとしない。
「…担当の海軍と癒着してる可能性があるわね。」
「おん。そこの管轄のネズミ言う大佐は金に汚のぉてなぁ。もしかしたら賄賂を受け取って黙認しとる可能性があるんや。」
「…それを依頼してきたのは海軍?」
もし彼の汚職を暴く為に海軍が依頼したのなら何故動こうとしないのか。花子の問いにキンジは静かに首を横に振る。
「依頼者はその海賊に村を潰された村人や。どっからウチの事を知ったんか謎やけどな。」
「あなたもお人好しね。」
「ウチかて鬼やないで?」
キンジに依頼するには十分な金がいる。きっと依頼者はそんな膨大な金は持っていなかっただろう。戯けた様に笑うキンジを花子は柔らかい表情で見つめた。
「でも潜入となると長期になるわよね?」
「…そこやなぁ。」
花子の気がかりなのはユラだ。やっと家族として暮らしているのだから、離れ離れになるのは避けたい。それに後2年経てばルフィも海に出る。出来れば旅立つ彼を見送ってあげたい。
「まぁ、依頼を受けるかは花子はんに任せるわ。ウチも手が空いてる奴等当たってみるさかい。」
余り気にするなと肩に手を置き笑顔を見せるキンジに花子は申し訳なさそうに力無く笑った。