第4章 瑠璃色の瞳の少女
突然のエースの告白。周りはシーンと静まり返り驚き硬直している花子にエースがそっと顔を近付けようとした時だった。
「て、アカーンッ!?」
「?!キンジッ?!」
「何だよっ、キンジ!邪魔すんなっ!?」
「黙れっ糞餓鬼っ!?巫山戯た事、ほざきくさってっ!?」
それに逸早く動いたのはキンジだった。花子にキスをしようとしたエースから光の速さで引き離し、彼女を抱き寄せ威嚇する様にエースを睨み付ける。
「大体、花子はんに結婚は早いわっ!」
「はあっ?!花子の年齢なら結婚しててもおかしくないだろっ!?」
「じゃかしいっ!これからは花子はんはユラとウチとで薔薇色ライフをおくるんじゃいっ!」
「…。」
「おかあさん?」
自分を挟んでぎゃいぎゃい騒ぐ2人をよそに頬を赤らめ放心状態の花子をユラが首を傾げ不思議そうに見上げる。
「おかあさん、おかお、まっか。」
「え…?」
「おねつ?」
キンジの腕から身を乗り出し自分の額を花子の額に合わせ熱を計る仕草をするユラに、花子は苦笑いを浮かべ抱き上げる。
「大丈夫よ。」
「ほんと?こんこん、ない?」
「ないない。」
以前、自分が風邪を引いた辛さを思い出し、もしかしたら花子も同じ状況ではないかと、心配そうな顔をするユラの頭を撫で花子は未だ言い合いをしている2人に声を掛けた。
「ほら、2人共。いい加減にしなさい。」
「そやかて花子はん!この糞餓鬼、調子乗ってからにっ!ホンマ、あいつそっくりやっ!」
「はあっ?!あんな野郎と一緒にするなっ!?」
ぐぬぬっと睨み合う2人は年の離れた兄弟の様で花子はその姿を微笑ましそうに顔を綻ばせ口を開く。
「キンジ、折角のエースの門出何だから喧嘩しないの。」
「そやかて…。」
「エースも。今は結婚とか考えて無いからまだ保留にしておいて?」
「…仕方ねぇな。」
納得のいかない表情をしているが、有無を言わせない花子の様子に2人は押し黙る。
「えーす、ばいばい?」
「あぁ。けど、一生の別れじゃねぇんだ。またどっかで会おうな!」
その時は俺の船に乗れよと、頭を撫でるエースの頬にユラはキスを落とし、彼も笑顔でユラの頬にキスをした。