第4章 瑠璃色の瞳の少女
「「「エース!誕生日、おめでとう~!」」」
「ありがとよ!」
大勢の者に祝福されエースは照れくさそうに顔を綻ばせる。今日はエースの誕生日。17歳を迎えた彼は明日、海へ旅立つ。彼の門出を祝う為、マキノの店を貸し切りにし盛大に宴が開かれている。
「えーす!おめでとっ!」
「ありがとよ、ユラ!」
「これ!ぷれぜんと!」
トテトテと可愛らしく自分に駆け寄るユラにエースは嬉しそうに頭を撫でる。プレゼントだと差し出された小さな袋の中身は、赤と白の石で出来たプレスレットだった。
「ユラと私で作ったの。」
「へぇ~!どうだ、似合うか?」
「えーす、すてき!かっこいっ!」
「とっても素敵よ。」
以前より言葉を理解し始めたユラは最近、花子の真似をよくする。彼女が人を褒める時に【素敵】とよく使うので、何かにつけてその言葉を使う。
「ユラも大分話せる様になったなぁ。」
「えぇ、話す事が楽しいみたいでよく村の人とお喋りしているわ。」
ちょこちょこと周りの者と話す姿は初めて会った時より活発で、見違えた姿に花子とエースは穏やかな顔で見つめていた。
「明日、ここを出るのよね?」
「あぁ、花子と出会って2年経つのか…。早ぇなぁ…。」
「あの時、エースとルフィが見付けてくれなかったら私はここにいなかったかもしれない…。」
キンジに再会する事も、ユラに出会う事も…。ありがとうと微笑む花子にエースはトクンッと胸の鼓動が鳴るのを感じた。
「お前はこれからどうするんだ?」
「暫くはこの村にいる予定だけど…いつかはユラと海に出ようと思ってるわ。」
生まれてからずっとあの場所に閉じ込められていたユラ。これからは自由に色々なものを見せてあげたいと花子は思っていた。
「なぁ…ちょっと2人で話さねぇか?」
「いいわよ。」
真剣な面持ちのエースにチラリとユラを横目でみた後、花子は笑顔で頷く。店を出る2人に気付いたのは1人だけだった。
(あれ?エースは?)花子もいねぇ!
(今は放っときなはれ。)今回は目ぇ瞑ったるわ
(おかあさん…。)
(大丈夫やでぇ~、ユラ。)