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海賊王の懐刀

第4章 瑠璃色の瞳の少女


花子が村を出て2日。昨夜、キンジの電伝虫に花子から明日帰ると連絡があり、朝からユラはソワソワと落ち着かない様子。

「ユラ~、少しは落ち着きぃ~。」

「ん!」

「ふふっ、ユラちゃん早く花子さんに会いたいのね。」

店の前をウロウロと歩き回るユラにキンジは呆れた顔をし、マキノは微笑ましそうにその様子を眺めていると、1羽の小鳥がユラの肩に止まった。

「!」

「ユラ?!」

「ユラちゃん?!どうしたの!?」

ピチピチと小鳥の囀ずりを聞きユラは目を見開き嬉しそうに破顔させると、突然何処かに走り出して行った。

「ユラ!どないしてん!?」

「きたっ!」

「はぁっ?」

ユラが向かった先は船着き場。ユラを捕まえたキンジとマキノはそこにいる人物に目を見開いた。

「あら、キンジにマキノさん。どうしたの?」

「いや…ユラが突然走り出して…。」

朱雀にお礼を言い近付いてくる花子にキンジは戸惑いを隠せずにいた。自分でも気付かなかった彼女の気配を何故ユラが分かったのか。

「ユラ、ただいま。」

「っ!」

優しく微笑み自分の頭を撫でる花子にユラは顔をくしゃっと歪め彼女に手を伸ばす。

「おかさんっ!」

「!ユラ…今…。」

おかさん、おかさんとキンジの腕の中で暴れるユラを受け取ると、花子の首に腕を回し何度も彼女の名を叫んだ。

「おかさんっ…おか、おかえりっ…!」

「ユラ…。」

ボロボロと涙を流し自分に甘えるユラを抱き締める花子の目にも涙が浮かんでいた。聞き間違いじゃない…この子は確かに自分の事をお母さんと…。

「遅くなってごめんね。」

「あっ、あいたっ…さみしっ…たっ!」

「ユラ、ずっと我慢しててんなぁ~。」

「良かったね、ユラちゃん。」

わんわん泣きじゃくるユラを落ち着かせ花子はポケットに忍ばせていた物をユラに差し出す。それはあの店で作った髪結いの紐。

「これね、ユラの為に作ったの。」

「おがざんが…?」

青い紐と黒い紐で編まれ金糸が織り込まれた結い紐を髪に着けると、ユラが動く度にキラキラと金糸が輝いている。

「よぉ似おてんで。」

「とっても可愛いわよ。」

花子からの初めてのプレゼンにユラは頬を赤くし嬉しそうに顔を綻ばせていた。

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