第4章 瑠璃色の瞳の少女
花子 side
仕事に出て1日が経つ。思ったより早く終わりこの分だと今日の夜には帰れそうね。私はユラ達のお土産を買う為に町を1人歩いている。
「おかあさん、ありがとう!」
「ふふっ、とっても似合ってるわよ。」
ふとお店を出た親子が目に入る。少女は髪に結んだリボンを撫でながら母親に甘える様に抱き着いている。普通の親子ってあんな感じなのかしら…?
(お母さん…か…。)
母親を思い夜泣く事は無くなったけど、ユラにとって母親はあの人だけ…。分かってはいてもあの子の母親になりきれていない自分が凄く情けなくなってしまう。
「そうだ…ユラにお土産。」
折角だから何か身に着ける物でも買って帰ろうと、あの親子が出たお店を見てみる事にした。
「いらっしゃい。」
カランとドアベルが鳴り中に入るとそこはアクセサリーショップの様で、店内にはキラキラと輝く宝石から髪を結う紐まで種類が沢山ある。
「綺麗…。」
ふと目に止まったのは1本の髪結いの紐。深い青がユラの瞳に似ていて、金糸が織り込まれていて窓から入る陽の光でキラキラと輝いている。
「誰かにプレゼンですか?」
「え?」
突然、お店の人に声をかけられ戸惑っているとお婆さんは可笑しそうにくすくすと笑い口を開いた。
「いえね、貴女が優しい目でそれを見つめていたので。お子さんですか?」
「そう…ですね…。」
ユラは私の大切な子…。でも、あの子は私を母親と思っていてくれてるかしら?
「良かったら自分で作ってみますか?」
「自分で?」
「この村にはね、親が子供にその紐を編む風習があるんですよ。ひと編みひと編み丁寧に…その子の幸せを願って。」
説明してくれたお婆さんの目はとても優しくて、この人も自分の子供の事を思ってこの紐を編んだんだろうと思う。
「あの…今から作る事って出来ますか?」
私がお願いするとお婆さんは快く頷き作業場に案内してくれた。紐の色を選び彼女の指導の元、ひと編みひと編み丁寧に…ユラの事を思って。
(今はまだ構わない…。)
ユラが元気に育ってくれるなら…。あの子の辛い過去を消し去るくらい幸せになってくれるなら…。
ーおかさん。ー
いつか…あの可愛らしい笑顔でそう呼んでくれる事を願って。