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海賊王の懐刀

第1章 処刑の日


「いくぞー!エース!」

「来い、ルフィ!」

イーストブルーのゴア王国の"ドーン島"。コボル山の森林で2人の少年が睨み合っていた。1人は黒髪にそばかすのある少年、ポートガス・D・エース。そしてもう1人は黒髪に麦わら帽子を被った少年、モンキー・D・ルフィ。2人は海賊になる事を夢見て今日もトレーニングに励んでいた。

「"ゴムゴム"のぉ~…!」

「まったく…お前は馬鹿の一つ覚えみたいに…。」

大きく腕を振り被るルフィにエースは呆れた様な笑みを浮かべる。拳を前に突き出したルフィの腕がゴムの様に伸びエースに向かって襲い掛かる。

「"ピストル"ー!」

「だからその技は…!」

迫り来るルフィの拳をヒラリと躱しエースは伸びた腕を掴むと背負い投げの勢いでルフィを投げ飛ばした。

「うわわぁー?!」

「やべっ!?勢い付け過ぎちまった!」

伸びた腕が戻ってくる反動も相まってバキバキと木を薙ぎ倒しながら、何処かに飛んで行ってしまったルフィをエースは慌てて追い掛ける。

ーーーーーー

ゴロゴロと岩壁を転がり落ちるルフィは腕を伸ばし崖先を掴み腕の伸縮を使って勢い良く地面に着地した。

「ふい~…あっぶねぇ~。俺泳げねぇからなぁ…。」

悪魔の実を食べた者は海に嫌われカナヅチになってしまう。"ゴムゴム"の実の能力者である彼は間一髪海に落ちる事は免れ安堵の表情を浮かべた。

「ん?何だ?」

崖の下を覗き込む様にして身を乗り出すと何かが打ち上げられているのが見え、目を凝らし良く見てみるとそれは人の姿をしている。

「たっ、大変だっ!?」

生きているのか死んでいるのかは分からないがこのままにはしておけない。しかし、自分は向かう事が出来ずアタフタしているとエースが駆け寄ってくる。

「悪ぃっ!ルフィ、大丈夫か?」

「エース!大変だっ、人が!」

「人?」

ルフィの指差す方を見つめると、何とか岩に引っ掛かってはいるが今にも波に浚われそうな人物にエースもぎょっとする。

「ルフィ!俺があいつを抱えるから引き上げてくれ!」

「分かった!」

ぴょんぴょんと身軽に岩壁を下り駆け寄ったエースはその人物を抱き上げる。

「女…?」

抱き上げた身体は細く冷えきっており微かに息をしているのが分かる。青白い頬をしたその人物にエースは目を見開いた。

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