第4章 瑠璃色の瞳の少女
ユラを迎えて1日が経った。花子とキンジはユラをルフィとエースに紹介する為、コボル山に向かった。
「ユラって言うの。仲良くしてあげてね。」
「小せぇなぁ~!人形みてぇだ!」
「ルフィ、間違っても投げ飛ばしたりするなよ。」
小さい子供が珍しいのかルフィはユラを抱き上げ、エースはそんな彼の行動に少しハラハラしている様子だ。
「それにしても、ユラの目綺麗だなぁ~!海みてぇだ!」
海の様に澄んだ瑠璃色の瞳。この目のせいでユラはあの場所に閉じ込められていた。幼いユラには理解出来ていないだろうが、ルフィの素直な言葉にユラは嬉しいそうに顔を破顔させる。
「るふぃ!あーと!」
「おうっ!」
「ふふっ、2人に会わせて良かったわ。」
「まぁ、ルフィの場合は精神年齢同じぐらいやろうしなぁ。」
楽しそうにじゃれ合う3人の姿を花子とキンジは顔を綻ぼせ見つめていた。
ーーーーーー
夜も更け皆が寝静まる中、花子は隣で穏やかな寝息を立てるユラを見つめている。ユラにとってここでの生活は初めてな事ばかりで、見るもの全てに興味を示していた。
(流石に泡を食べようとした時は驚いたけど…。)
お湯にも驚いた様子だったが身体を洗う泡が美味しそうに見えたのか、口に入れようとしたユラを慌てて止めたのはつい先日の事。
(今度、ケーキでも作ってあげようかしら。)
祠にいた時は満足な食事等、与えられていなかった筈。ユラが喜ぶならと明日のおやつを考えながら眠りに着こうとした時、もぞっとユラが身動きした。
「…ぅ…っ。」
「ユラ?」
起こしてしまったかとユラの顔を覗き込むと、その顔は苦しそうに歪み額からは汗が流れ落ちていた。
「ぉ…ん…っ。」
「ユラ?どうしたの?」
魘され苦しそうに何かを呟くユラ。額の汗を拭うとユラの閉じられた目から一筋の涙が溢れ落ちた。
「おか…さ…。」
「!」
絞り出す様な切ない声。目を見開き花子は溜まらずユラの身体を抱き締めた。
「おか…さんっ…おか…」
「大丈夫よ…。」
必死に母親を求めるユラに花子は抱き締めてあげる事しか出来ない自分にぐっと唇を噛んだ。
(私は…この子の母親になれるのかしら。)
せめて、夢の中では母親の腕で眠れる様に花子はユラを優しく包み込んだ。