第4章 瑠璃色の瞳の少女
キンジ side
ホンマ、甘過ぎるで…。ウチは、ユラを可愛いと抱き締める花子はんやそんな2人を微笑ましそうに見つめる皆はんに溜め息を溢す。
(可愛がり過ぎやろ…。)
別に花子はんを盗られたからって拗ねてんちゃうで!あんな優しい笑顔で抱き締められて羨ましいなんて、思ってへんからな!
「あいっ!」
「…なんやねん。」
いつの間にか花子はんの膝から降りたユラがウチの側に寄ってきて、先程と同じ様に菓子の入った袋を差し出す。
「キンジにもあげるって。」
「きじっ!あーる!」
「…別に菓子なんて欲しないわ。」
ふんっと厚意を袖にするとユラは目を大きく見開いた後、悲しそうに顔を歪める。ぷるぷると震え瑠璃色の瞳からは涙が溢れ落ち、流石のウチもぎょっと驚いた。
「う"ぅ~!やぁ~!きーじ、あーるぅっ!」
「はぁっ?!なんやねん!?」
ウチの足にしがみ付き嫌だ嫌だと首を振るユラに戸惑う。てか、離れろや!服、汚れるやろっ!意外と力の強いユラを引き剥がそうとしていると、ピキーンッと空気が凍るのを感じた。
「…キンジ。」
「おおお…花子はん…。」
にっこりと綺麗な微笑みを浮かべてはるのに、花子はんの背後には阿修羅が鎮座しとった…!
「どうしてあなたはいつもそうなのかしら?」
「いや、ウチ…甘いもんは…「ん?」
「ありがたく頂かせて貰いますっ!?」
ウチ、このままやったら殺されるっ!未だウチの足にしがみ付くユラの頭を撫でると、涙の溜まった瞳でウチを見上げた。
「きじ、いる?」
「おぉ~、おっちゃんにも1つくれるか?」
するとさっきまで嘘泣きやったんかっちゅうくらい笑顔のユラは嬉しそうにウチに袋を差し出す。
「あいっ!」
「ん、おおきに。」
菓子を受け取ってもろて満足したんかユラは花子はんの所に戻って行った。
「ふふふっ、大変ですね。」
「ホンマ、餓鬼っちゅうもんはよぉ分かりまへんわ…。」
「きっとユラちゃんはキンジさんと仲良くなりたかったんですよ。」
マキノはんにそう言われふと楽しそうに笑うユラを見た後、もろた飴に目を映す。ウチと仲良くなぁ…。
「…あっま。」
普段は食べん飴を放り込むと口に広がる甘さに顔を顰める。せやけど何故かそれを吐き出す事は出来んかった。