第4章 瑠璃色の瞳の少女
「ほぉん~、そないな島があるとは知らんかったわぁ~。」
「キンジでも知らない島ね~…。」
花子とキンジはマキノの店に移動してユラの事について話していた。ユラはと言うと店内を物珍しそうにヨタヨタと覚束無い足取りで見て回っている。
「そんでぇ~?あの子どないすんねん。」
「勿論、育てるわよ。」
「花子はんがぁ~?」
大丈夫かとでも言いたげなキンジの表情に花子はぐっと言葉を詰まらせる。確かに花子は子供を育てた経験はない。
「大丈夫よ!シャンクスやバギーのお世話はしてたし!」
「年齢が違い過ぎるやろ。それにあいつ等は放っておいても死にはせん。」
「後、モモの助様のお世話も!」
「殆どトキはんがしてたや無いか。」
子供の世話のスキルだけなら、きっとキンジやダダンの方が上だ。彼女に面倒見て貰うかと訪ねるが花子は断固として首を横に振る。
「ユラは私が育てるの!」
「ホンマ大丈夫かいなぁ~…。」
拳を固く握り宣言する花子をキンジは呆れた表情を浮かべ見つめる。メラメラと燃える花子の服の裾を徐にユラが引っ張った。
「ねっ!ねっ!」
「ん?ユラ、どうしたの?」
ニコニコと嬉しそうなユラの手には小さな布袋が握られていた。しゃがみ込みその膨らんだ中身を見てみると、飴等のお菓子が沢山入っている。
「もらたっ!」
「えぇっ?!」
ユラが指を差す方にはマキノの店を訪れた常連客。可愛かったからついと、頭を搔き顔を緩ませる彼等に花子は苦笑いを浮かべた。
「ちゃんとお礼言ったの?」
「!」
花子の言葉にハッとしたユラはトテトテと彼等の元に向かい深々と頭を下げた。
「あ~がとざす!」
「いいって、いいって~!」
「嬢ちゃんはいい子だなぁ~!うちの息子にも見習って欲しいぜ!」
「もう…ありがとうございます。」
ユラの頭を撫でまた菓子を与える彼等に苦笑いを浮かべていると、ご機嫌に顔を綻ばせユラは花子の元に戻っていった。
「良かったね。」
「あいっ!」
ニコニコと笑うユラを膝の上に座らせると袋の口を開き花子に差し出した。
「くれるの?」
「あいっ!」
ぱぁっと花が咲いた様な笑顔に身悶え花子はユラを抱き締めた。