第3章 生まれてきてくれて…
白ひげ side
花子と出会ったのはいつぐれぇだったか…。ある島でたまたまロジャーの海賊団と鉢合わせになりいつもの様に俺達は殺し合いを始めた。
ーロジャーっ!ー
ロジャーに向かってむら雲切を振り下ろした時、目の前に女が飛び出してきた。あんな小せぇ身体してんのにそいつは意図も簡単に俺の一撃を受け止めやがった。
ーいきなり飛び出していかないでよ!ー
ー悪ぃ悪ぃ!ニューゲードの船が見えたんでな!ー
ーニューゲード?ー
ロジャーを叱り付ける女が俺の姿を捉えた瞬間、ドクンッと俺の心臓が大きく跳ねた。艶のある黒髪、陶器の様な白い肌、薄くピンク色の唇。何より目を奪われたのは女の純粋で真っ直ぐな強い瞳だった。
ー…誰?ー
それが花子との出会いだった…。
「グララララッ。」
「どうしたんだよい、親父。やけに楽しそうだねい。」
「なぁに、こいつはいつまで経ってもじゃじゃ馬だと思ってな。」
昔の事を思い出す俺を察してかマルコの奴も俺の膝で眠る花子を見つめ苦笑いを浮かべる。
「そう言やぁ…初めて会った時のこいつは面白かったなぁ。」
「あぁ。あいつの側にピッタリくっついて威嚇するみてぇに俺達を睨み付けてたな。」
会う度にロジャーの周りをうろちょろしてる花子を気付けば目で追っていた。だからすぐに気付いた。花子がロジャーを見る目が他の奴等と違う事を。
「マルコ。お前、俺に気を使う必要はねぇんだぞ。」
「…何の事だよい。」
「俺の目を誤魔化されると思うなよ。俺ももう年だ。今更どうこうなりたいなんざ思っちゃいねぇよ。…イゾウもだ。」
「…親父には敵わねぇな。」
マルコの隣で俺達の話を聞いていたイゾウに目を向ければ困った様な顔をしやがる。こんな会話がされている何て知りもしねぇで呑気に寝こけている花子の頬を撫でた。
ーロジャー…。ー
なぁ、花子。お前の笑顔を守れるんなら俺は何だってしてやるよ。だからお前は…あの頃みてぇに、自由に飛び回っていてくれ。
(おでんを貸してくれだぁ?)
(頼むっ!1年でいいんだ!)
(…じゃあ花子を(断る!)
(まだ何も言ってねぇだろ!)