第3章 生まれてきてくれて…
花子 side
凄い形相でお風呂場に飛び込んできたエースだったけど、顔を真っ赤にすると弾かれた様に飛び出して行ってしまった。
「エースの奴どうしたんだ?」
「さぁ?」
わしゃわしゃとルフィの頭を洗っていると、彼は楽しそうに笑い声を上げた後ポツリと呟いた。
「…母ちゃんがいたらこんな感じなのか?」
「え?」
「マキノも優しいけどよ。花子は何か温かくて安心するんだ。」
泡だらけの頭を私の胸に預け甘える仕草をするルフィに胸が苦しくなる。今の生活が嫌なわけじゃ無いだろうけど、彼も母親に甘えたい時はきっとある筈。
「出来ればお姉さんがいいかなぁ。」
「いや!花子は母ちゃんだ!」
「お母さんって言ったら、ダダンさんの方がそうじゃない?」
「…ダダンはいい奴だし好きだけど、花子みたいな綺麗な母ちゃんがいい!」
振り返りぎゅうっと私を抱き締めるルフィに、将来きっとこの子は色んな人を誑かすんだろうなぁと、苦笑いが溢れた。
ーーーーーー
エース side
(な・にっやってんだ!?あいつはっ!?)
ダダンから2人が一緒に風呂に入ってると聞いて思わず風呂場に向かうと、案の状花子とルフィがいた。
(綺麗…だったな…。)
タオルを身体に巻いていたが、水を含んだそれは身体に張り付き丸みのあるラインが浮き出て、普段下ろされている髪は1つに結い上げられ白い項が曝け出されていた。
(やべぇ…。)
柔らかそうな胸、細い腰、形のいい尻、熱で薄く色付いた肌。初めて見る女の裸に身体がムズムズする。
(何だ…これは…?)
ドクドクと脈打つ胸を押さえ目に焼き付いて離れねぇ花子の姿に、つうっと鼻から何かが流れ出す。
「っあ"ぁ~…!くそっ!」
乱暴にそれを拭えば手の甲に赤い液体。何とも言えない情けなさに俺はその場にズルズルとしゃがみ込んだ。
(エース~、お風呂空いた…どうしたの?!)鼻血っ?!
(うっ、うるせぇっ?!)近寄んなっ!
(エース、どうしたんだぁ?)
((…。))可哀想なエース…