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海賊王の懐刀

第3章 生まれてきてくれて…


ルフィにも自分の事情を話した花子。難しい事は理解していなかったが彼女が元海賊王のクルーだと知ったルフィは、キラキラと目を輝かせた。

「花子~!特訓してくれ~!」

「いいわよ。」

以前から懐いてはいたが、最近はそれに拍車がかかった様にルフィは花子にベッタリである。雛の様に後ろを着いて回るルフィが可愛く思うのは彼女だけの秘密。

「おい、ルフィ!今日は俺が花子に相手してもらう番だ。」

「エースはこないだ、してたじゃねぇか!」

「昨日はお前だったじゃねぇか!」

以前は兄と言う立場からか、それとも彼女を警戒していたからか。1歩引いて接していた彼だったが、今は何か吹っ切れた様にエースもルフィに負けず劣らず花子に引っ付いて回っている。

「ほら、喧嘩しないの。今日はキンジから何も言われてないから、ルフィは後で相手してあげるから。」

「よっしゃっ!」

「えぇー!?エース、ずりぃー!」

自分を間に言い合いを始める2人の姿が幼い頃のシャンクスとバギーを思い出し、懐かしさに花子は顔を綻ばせていた。

ーーーーーー

夜も更け夕食の獲物を捕らえたエースが大きな熊を抱え戻ってきた。家に入ると花子とルフィの姿はおらず、何故か微妙な顔をしているダダンとその子分の姿が目に入る。

「あいつ等はどうしたんだよ?」

「あぁ~…。」

言いにくそうに口籠るドグラ。首を傾げるエースにダダンが重い溜め息を漏らした。

「…風呂だよ。」

「風呂?珍しいな、ルフィが風呂に入るなんて。」

ルフィは風呂に入る事を極端に嫌がる。面倒臭いと言う理由もあるだろうが、悪魔の実の能力者である彼は風呂に浸かると力が抜けてしまう様だ。

「…だよ。」

「あ?」

「だから…花子も一緒に入ってるんだよ…。」

「?!」

話を聞けば風呂に入れと言うダダンにルフィが嫌がり、それを見かねた花子が一緒に入る事になった。花子にとってルフィは弟の様なものだし、ルフィも彼女を姉の様に慕っている。しかし、もう幼い子供ではない。まさかの状況にエースはぎょっと目を見開くと、バタバタと慌てた様子で風呂場に飛び出して行った。


(何してんだ、お前等ぁっー?!)

(あら、エース。お帰りなさい。)

(エースも入るか?)

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