第16章 ガレオン船
花子 side
「こちらチョッパー、そっちの様子はどうだ?どうぞ。」
《こちらルフィ、魚がいっぱいだ!どうぞ!》
ルフィ達が海へ潜って暫く経った頃、チョッパーは通信用のベルで3人と会話をしている。今の所、問題は無さそうね。
「どうしたの?花子さん。」
「海の中は意外と冷えるから何か温かい物を作ってくるわ。」
楽しそうにルフィ達と話しているユラをナミにお願いして私はキッチンへと向かった。
ーーーーーー
「やっぱり温まるとしたら汁物かしら…。」
冷蔵庫の中を確認し食材を取り出す。流石はサンジ君、何処に何があるか直ぐに分かる様に綺麗にしているわ。
「"空島"…か…。」
あの時、私はロジャー達とは別行動していたから本当にそんな島があるのか信じられなかったけどシャンクス達から色々教えてもらったわね。
ー聞いてくれよ、花子さん!"空島"には面白いもんが沢山あったんだぜ!ー
ー黙れっ!アホシャンクス!俺が花子さんに説明するんだ!ー
直ぐに2人が喧嘩を始めちゃったから行き方までは聞けなかったけど、こんな事ならちゃんと聞いておくんだったわ。
ー人生長ぇんだ、行く機会はいくらでもある。ー
楽しそうな皆を見て私も行けば良かったと伝えたら、あの人はニヤリと笑い連れて行ってやるとは言ってくれなかった…。
ーお前にやる、…大切にしろよ。ー
ふと左手首にある金の腕輪に視線を落とす。"空島"のお土産だと渡されたあの人から貰った最初で最後の贈り物…。
(そう言えば…レイリーがこれを見て良かったなって言っていたわね。)
あの人から腕輪を貰った次の日、レイリーは優しく微笑みそう言った。他の皆もニヤニヤと笑っていたけど何だったのかしら?
(キンジも変だったわね…。)
暫くして何故か鬼の形相でキンジが怒鳴り込んで来た。あんな奴認めないとか、考え直せとか…まあ、キンジが変なのはいつもの事だけど。
「あ…電伝虫。」
すっかり忘れていたわ…キンジの電伝虫、クロコダイルに壊されたんだった。連絡してなくてきっと発狂しているわね…。
「…まあ…いっか。」
怒涛の質問攻めをされるのを想像し考えるのを止め、丁度スープが出来上がった時、何やら外が騒がしくなっていた。