第16章 ガレオン船
急いで甲板に出ると先程まで明るかった空は雲に覆われ辺りは暗くなっていた。何事かと花子が駆け寄るとウソップとユラが涙を流し震えていた。
「何かあったの?」
「花子っ大変だっ!ルフィ達がっ!」
「おかあさんっ、ルフィが食べられちゃったっ…!」
状況が把握出来ず震えるウソップの指差す方に目を向けると山程あるであろう巨大な海亀が優雅に泳いでいた。
「まあ…大きな海亀ね。」
「注目するとこそこかよっ?!ルフィ達があの亀に喰われちまったかもしれねぇんだぞ?!」
「どうしよ〜…!?」
「大丈夫よ、ルフィ達なら。」
シクシクと泣くユラを抱き上げ巨大な海亀を眺めていると食べられた筈のルフィ達が自力で帰還してきた。その後を追う様にゴリラの様な男もメリー号へと乗り込んできて、4人は巨大な海亀と辺りの暗さに驚愕していた。
「でっけぇ〜?!お化け亀かっ?!」
「ル〜フィ〜っ!よがっだぁ〜…!」
「ほらね。」
兎に角この場を離れ様とした時、海の上に立ち辺りを覆う程の大きな影が現れた。その影は"リトルガーデン"で見た巨人よりも大きく背中には羽根の様なものを背負っていた。あまりの巨大さにルフィとゴリラ男は目玉が飛び出る程驚き奇声を上げ、一味は逃げる様にメリー号を走らせた。
「…今日は何かおかしいぜ。」
「巨大なガレオン船が空から降ってきて。」
「指針が空に奪われ…。」
「妙なサルが現れて船を引き上げる。」
「それから、でけぇ亀に遭って…。」
「夜が来て…。」
「最後は巨人の何十倍もある大怪物、…うんめぇ!奈津子!おかわり!」
「…流石にあれはビビったね、…あっ、俺もいいか?」
「はいはい。」
謎の影から逃げ切った一味は花子の作ったスープを食べながら今日の事を振り返る。差し出されたお椀を受け取りキッチンへ向かおうとした花子がふと口を開く。
「ところでルフィ、その人はお友達?」
「「「ん?」」」
花子の言葉に一味の視線がゴリラ男に集まる。余りにも溶け込んでいたので彼女が指摘するまで誰も気付かなかった様子。
「「「出て行けー!!」」」
ルフィ、ゾロ、サンジに蹴り飛ばされたゴリラ男を見つめ、やはり違ったのかと花子はキッチンに戻って行った。