第16章 ガレオン船
どうやら彼女は"アラバスタ"を出る前から船に乗り込んでいた様だ。事態が落ち着くまで入浴をしたり読書を楽しんだりと満喫していた様子。
「彼女は気付いていた様だけど。」
「えっ?!」
くすくすと可笑しそうに笑うMs.オールサンデーにぎょっと目を見開いた一味の視線が一気に花子の方に向く。
「花子さん、気付いてたの?!」
「流石に彼女だとは思わなかったけど。」
「知ってたんなら言えよ!」
「不審な動きはなかったし、いいかなって。」
「良かねぇだろ!?」
ケロっとした顔の花子に抗議するナミ、ゾロ、ウソップに構わずMs.オールサンデーはルフィに目を向けた。
「モンキー・D・ルフィ。」
「ん?」
「貴方…私に何をしたか忘れてないわよね。」
神妙な面持ちの彼女から醸し出される空気は普通では無かった。いったい彼女に何をしたんだとサンジがルフィに詰め寄るが、当の本人は何の事か分からない様子。
「おい、お前!嘘つくな!俺はなんもしてねぇぞ!?」
「いいえ、耐え難い仕打ちを受けました。責任…とってね。」
意味深げな言葉に血の涙を流しルフィを掴むサンジの手に力がこもる。そんな2人をよそに花子はMs.オールサンデーに尋ねた。
「貴女はもうB.Wから解放されたんでしょ?」
「えぇ、そうよ。」
「…じゃぁ、ルフィに何を求めるの?」
探る様な花子に彼女はやっとサンジから解放されたルフィへ顔を向けるとにっこりと微笑んだ。
「私を仲間に入れて。」
「「「はぁ?!」」」
予想外の発言に一味は驚きあんぐりと口を開けた。花子も予想をしてなかったのか目を見開いている。
「死を望む私を貴方は生かした。それが貴方の罪…。私には行く当ても帰る場所もないの。この船において。」
「何だ、そりゃしょうがねぇな。いいぞ。」
「「「ルフィ!?」」」
あっさりと首を縦に振るルフィに一味からは反対の声が上がる。しかし、彼はいつもの笑顔で答えた。
「心配すんな!こいつは悪い奴じゃねぇ!」
何を根拠に言っているのか、ニシシッと笑うルフィに頭を抱え複数の大きな溜め息が辺りに響き渡った。