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海賊王の懐刀

第16章 ガレオン船


"アラバスタ"を出発した麦わらの一味は追撃してくる海軍を潜り抜け船を進めて行く。軍艦が追って来ない事を確認したゾロは何も言わない仲間に声を掛けた。

「もう追ってこねぇな、海軍の奴等。」

「「「ん〜…。」」」

「…突き離したんだろ?!」

「「「ん〜…。」」」

覇気の無い声で答え柵の間から顔を出し項垂れる仲間にゾロは呆れた様に顔を顰める。

「あのな…なんだよ、その気のねぇ返事は…。」

「「「さみしー…。」」」

「めそめそすんな!…そんなに別れたくなきゃな…力づくで連れてくりゃ良かったんだ!」

「うわぁ野蛮人!」

「最低…!」

「マリモ。」

「三刀流…。」

「待てルフィ、三刀流は悪口じゃねぇぞ。」

「四刀流…。」

「増えてどうすんだよ!」

ゾロとて寂しくない訳ではないだろう。しかし、これはビビが決めた事。粗暴な彼の言葉にルフィ達からは非難の声が上がる。

「仕方ないわ、ずっと一緒にいたんだもの。」

「…お前は平気そうだな。」

「そんな事ないわ、でも…ビビが決めた事だもの。」

グズグズと腕の中で鼻を啜るユラの頭をそっと撫で微笑む花子の顔も何処と無く寂しそうに見える。

「あなたもそうでしょ?」

花子の言葉にゾロは苦虫を噛み潰した様な顔をし誤魔化す様にユラの頭を撫でる。素直じゃないゾロの態度に花子は微笑みながらふと船内に繋がる扉に目を向けた。

「やっと島を出たみたいね、ご苦労様。」

仲間のものでは無い声に一味はふと目を向ける。そこにはB.Wの幹部でありクロコダイルのパートナーだったMs.オールサンデーの姿があった。

「組織の仇討ちか!?相手になるぞ!」

「何であんたが此処にいんのよ!」

「綺麗なお姉様ー♡」

「敵襲ー!敵襲ー!!」

「ああああああっ!…誰?」

「あ!…何だ、お前じゃねぇか!生きてたのか?」

突然の彼女の登場に一味は慌てゾロとナミは武器を構え、サンジは目をハートにし、ウソップとチョッパーは騒ぎ出す。ルフィは何事もないような態度をしている。

「そういう物騒なもの私に向けないでって前にも言ったわよね?」

「あっ!」

「うわ!手!?」

ゾロとナミの腰から手が生え2人の武器を叩き落とした。彼女はスッと目を細めるときゅっと口元を上げルフィを見つめた。

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