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海賊王の懐刀

第15章 ビビとの別れ


途中、攻めてくる軍艦を蹴散らしながら一味は東の港へと辿り着く。時刻は12時丁度。しかし、そこにビビの姿はない。代わりに"アルバーナ"の式典の放送が聞こえ彼女の答えを悟ったゾロとサンジがルフィに声を掛ける。

「聞えただろ、今のスピーチ。間違いなくビビの声だ。」

「"アルバーナ"の式典の放送だ。もう来ねぇと決めたのさ…!」

「ビビの声に似てただけだ!」

諦めたくないのは皆同じ。だが、背後から海軍の気配を感じルフィの思いも虚しくメリー号は港から離れて行く。

「…。」

「…ルフィ。」

だんだんと遠くなる港をじっと見つめるルフィに花子が声を掛け悔しそうに唇を噛む彼の頭を優しく撫でた。

「みんなぁっ!!」

スピーカー越しに聞こえたのはビビの声。港に目を向けるとそこにはビビとかルーの姿だった。急いで船を引き返す様にルフィが指示を出すも彼女の言葉は予想外のものだった。

「お別れをっ…言いにきたの!」

「えっ?」

「私は…一緒に行けません!!」

「「「…。」」」

「まだ冒険はしたいけどっ…私はこの国が愛しているから!!」

本当は彼等と一緒に行きたい。でも、そうしないのは彼女がこの国を心から愛しているから。諦めきれずにいたルフィもビビの思いを聞き笑顔で答える。

「私は…ここに残るけど!また何処かで会えたら…その時は…また仲間だと呼んでくれますか!!?」

涙ながらのビビの叫びに答えようとするルフィをナミが止める。海軍がビビに気付き始めている今、海賊と関わりがあるとバレてしまえば彼女も罪人になってしまう。

「おかあさん…こんなのユラ嫌だっ…。」

黙って背を向けるしかない。涙を浮かべるユラに花子は微笑みかけそっと彼女を船の縁に立たせる。

ー印ならバツがいい!海賊だろ!ー

ーでもありゃ本来相手への【死】を意味するんだぞ。ー

ーいいんだ。バツがいい!なぁビビ!ー

ーうん。私もそれがいい!ー

ーこれでよし…!ー

涙を流しじっと彼等を見つめるビビの目に飛び込んできたのは高く掲げられた8本の腕。その腕には包帯が巻かれていた。

ーこれから何が起こっても左腕のこれが…仲間の印だ!ー

仲間の証を刻んだそれは…ビビに届くように…高く高く掲げられた。

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