第15章 ビビとの別れ
花子 side
ーお前がそれを言うのかよっ!ー
ゾロの叫びに自分の過ちに気が付いた。自分が1番分かっている筈なのに…その想いを拒絶される事がどんなに辛いかを…。
「…ゾロは、私の事が好きなのよ。」
「すき?」
キョトンとした顔のゾロに思わず笑みが溢れた。きっと彼はルフィ達に対する好きの事を思っているのね。
「その人が笑いかけてくれると嬉しくなる…他の誰かを見つめているとどうしようもなく胸が苦しくなる…側にいたいと思う…。」
「…。」
側にいられるだけでいいと思っていた。でも…その想いはどんどん膨らんでいく。私だけを見て欲しい…私だけを愛して欲しい…。
「その人の事がたまらなく愛おしく想うの…。」
自分の胸に手を当てるゾロは探る様に考え込む。暫く無言だった彼はぐっと唇を噛み締め真っ直ぐ私を見つめた。
「…最初はお前に近付けば鷹の目とも互角にやり合えると思った。」
ゾロの夢は世界一の大剣豪になる事。その為にはミホークを倒さなければならない。今の私が彼と渡り合えるかは分からないけど、私を超えればゾロの夢に近付ける。
「お前が楽しそうにしてっと胸が熱くなる。お前が誰かを思って泣くとどうしようもねぇくらい苛立つ。」
そっと私の頬に触れるゾロの手はまるで壊れ物を扱う様に優しく、私を見つめる瞳は柔らかいものだった。
「お前を…俺のものにしたい。」
「ゾロ…。」
「お前を悲しませるもんは俺が全部ぶった斬ってやる。だから、俺だけを見てろ。」
優しく触れたゾロの唇は少し震えていた。そんな彼を受け入れる様に私もそっとゾロの腰に腕を回す。
「これが好きって事なのか?」
「本当にあなたは馬鹿ね…こんな私を好きになるなんて。」
まだ心のどこかで私はロジャーへの想いを断ち切れていない。ゾロの気持ちに答えられるかも分からないのに…。
「たっぷり時間はあんだ。その内、俺以外は見えねぇ様にしてやるよ。」
「…お手柔らかにね。」
ニヤリと笑みを浮かべまた口付けるゾロに少しだけ胸がトキめいたのは私だけの秘密…。
(ンッ…ゾロっ待って…!)
(んだよ、いいだ(花子〜!ゾロ〜!何処だ〜?)
(…ルフィが来る。)
(…あんのアホ船長っ!)邪魔しやがって!