第15章 ビビとの別れ
ゾロside
感情を失ったかの様に呟く花子の瞳は何かに怯えている様に見えた。
「ゾロの気持ちは嬉しい…でも、それに私は答える事が出来ないわ…。」
「…どう言う意味だ。」
俺の中にあるこの感情が特別なもんなんだって事は分かる。その正体をこいつは分かってんのか?
「あなたはまだ若いんだもの。これから色んな人と出会って、いつか本当にそう思える人が見付かる筈よ。」
「…っんだよ。」
何だよっ、それっ!諭す様に力無く微笑む花子に怒りが込み上げてきた。お前が…それを言うのか?
「っふざけんじゃねぇ!」
「ゾロ…?」
確かに俺はこの感情が何なのかも分からない餓鬼かもしれねぇ!だが、そんな中途半端なもんじゃねぇって事ぐらいは分かる。
「お前はっこの感情が一時のもんだって言うのかよっ!」
「…そうね、ゾロのその感情は別のものよ。」
「っお前がそれを言うのか?」
この感情を知っていてっ…この苛立ちも、心臓が握り潰すされそうなくらいの苦しみもっ…!
「お前を見ると側にいてぇって思うこの感情を知ってるお前がっ…それを言うのかよっ!?」
「っ?!」
怒りに任せ俺は花子の唇に食らい付いた。勢い余って歯が当たっちまったがそんな事は構わず逃げる舌を絡め取る。
「っん、ぞっ…ちょっ、まっ…!」
「っ黙れ!」
肩を押す花子の両手を掴みそのままベンチに押し倒す。怯えた顔の花子に怒りとは違うドロドロとした黒い感情が湧き上がってきた。
「なぁ、教えろよ。この感情のわけを。」
「そ…れは…。」
頑なに口を割らねぇ花子に舌打ちを溢し無防備に曝け出された首筋に顔を寄せる。
「言わねぇんなら、このまま抱くぞ。」
「っ?!」
低く脅しとも取れる俺の声に花子の肩がビクッと跳ねる。その反応が可愛いなんて思う俺は相当ヤキが回ってんな。
「分かった!言う!言うからっ!」
「…チッ、言うのかよ。」
俺としちゃあこのままでも良かったが言うから離せと暴れる花子の身体から退きベンチに座り直す。
「おら、教えろよ。」
「…言っておくけど、これは私の主観だからね。本当にそうかは分からないわよ。」
往生際が悪ぃな…。妙な言い回しをする花子に顔を顰めると慌てた様子で口を開く。