• テキストサイズ

海賊王の懐刀

第15章 ビビとの別れ


腹一杯飯を食わせろとルフィと約束したビビは盛大な宴を開いてくれた。豪華な料理に舌鼓を打ち食事を終えた麦わらの一味は身体の疲れを癒やす為、風呂に入る。

「ん~!最高ね!こんな広いお風呂がある船とかないかしら?」

「ふふっ、じゃあ船大工を仲間に入れたらメリー号に作ってもらいましょう。」

久々の大きな風呂にナミは嬉しそうに顔を綻ばせる。身体を洗っているとふとユラの腕に視線を移す。

「…その痣が珀鉛病?」

「…えぇ。」

ユラの腕には30cm程の白い痣が浮かび上がっている。元々、肌の白いユラではあるが陶器の様に白く無機質なものだ。

「今は症状は無いけど進行すれば全身に痛みを伴うみたい…。」

ユラの身体を優しく洗う花子はその痣を見つめ悲しそうに眉を下げる。いずれ痣は全身に広がり痛みがユラを苦しめるだろう。

「…ねぇ、花子さん!花子さんと海賊王はどんな関係だったの?」

「どうしたの?急に。」

暗い空気を打ち消す様にナミが明るい声で尋ねる。ロジャーを語る時の花子は悲しげだがそれとは別に違う何がある様に感じだ。

「…別に何も無いわよ。」

「え〜?本当に〜?」

ビビも口には出さないが気になっているのか期待の籠もった目をしている。興味津々と言った2人の眼差しに花子は苦笑いを浮かべ口を開く。

「…ロジャーは自由な人だった。問題事にはすぐに首を突っ込むし、人の話は聞かないし。」

「…何か身に覚えがあるわね。」

「あはは…。」

何をしていても楽しそうにしている彼を最初は花子はよく分からなかった。何がそんなに楽しいのか、何故笑っていられるのか。

「でも…そんな彼が私には凄く輝いて…今思えば初めて会った時から私は惹かれていたのかもしれない。」

元々、目が離せないロジャーだったが気付けばいつも彼の姿を目で追っていた。太陽の様にキラキラとした笑顔も…優しく温かな眼差しも…彼の全てが花子を魅了した。

「好き…だったの?」

「…そうね。」

花子は柔らかく微笑み左にある腕輪を見つめる。その瞳が柔らかく愛おしげで美しく微笑む彼女の表情に2人は目を奪われた。

「…片思い…だったわ。」

ーお前を大事にしてくれる奴が…きっといるさ。ー

/ 247ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp