第15章 ビビとの別れ
「ユラちゃんが【ユラヒメ】?!」
「えぇ…。」
「それがどうしたんだ?」
ユラヒメを手に入れた者は海の加護を受ける。だから、ユラの存在が明るみに出れば海軍のみならず世界中の海賊達がユラを狙ってくるだろう。
「でも、ユラの事はまだバレてないんでしょ?」
「それが、"レインベース"でクロコダイルに捕まった時にスモーカーに感付かれたのよ…。」
「…あん時か。」
ユラがバナナワニに向かって叫んだ時、バナナワニは一瞬ではあるが動きを止めた。それを目にしたスモーカーは花子の事は勿論ユラの事も海軍に報告すると言ったのだ。
「おいおいっ…!やべぇんじゃねぇか?!」
「俺達っ狙われんのかっ!?」
表沙汰にはしないにしても海軍は必ずユラに接触しようとするだろう。今よりも強大な敵に追われると思ったウソップは顔を青くさせチョッパーも焦った様に右往左往している。
「分かったでしょう?ルフィ、今までの敵とは違うの。私達といればあなた達にも危ないのよ。」
「…何が問題なんだ?」
真剣な目で見つめる花子にルフィはケロッとした顔で首を傾げる。話を聞いていたのかと花子は頭を抱え溜め息を漏らす。
「だから…海軍に追われるのよ。」
「そんなの今更だろ?俺達は海賊だぞ!」
「…規模が違うの。」
厳しい事を言う様だが今の一味じゃ大将どころか少将に勝てるかも難しい。そんな敵が大勢押し寄せて来た時、花子も彼等を守りきれるかも分からない。
「花子はさ、何でいつもそうなんだよ。」
「…何が。」
「いっつも大事な事は1人で抱え込んで!仲間だろ!もっと俺達を頼れよ!」
「っ?!」
ーお前はいつも1人で抱え込みやがって!もっと仲間を頼れ!ー
怒った様に声を荒げるルフィの言葉に花子は苦しそうに顔を歪める。仲間を信用しろ、もっと頼れ。それはロジャーから教られた事…。
「…私はっ…もう、大切な人を失いたくないのっ!」
「だから何で俺達が負けるって決めつけんだよ!強ぇ奴が向かってきても俺は負けねぇ!」
珍しく取り乱す花子に構う事なくルフィは彼女の肩を掴みじっと目を見つめた。
「俺の仲間は誰1人失わせねぇ!お前もユラも!俺が守るんだ!」
ーお前の事は俺が守ってやるよ!ー