第14章 アルバーナ
花子 side
「…ユラ。」
「…やだ。」
「…まだ何も言ってないじゃない。」
私の言おうとしている事が分かっているのかユラは顔を私の胸に押し付け離さないと言わんばかりにぎゅっと服を握り締める。
「ユラだけ逃げろって言うんでしょ?ぜったいに嫌だ!」
「…。」
「ユラだけ助かっても嫌だもんっ…!おかあさんも一緒じゃないとっ…もう…ひとりぼっちはいやだよぉっ…!」
あぁ…私はどうやら選択を間違えてしまっていたみたいね…。ロジャーがいなくなってしまった時のあの悲しみを…この子にさせてしまうところだったわ…。
「そうね…どちらにしても此処から動けないし…皆が来るまでお昼寝でもしていましょう。」
「うん!」
朱雀に背を預け横たわる私の隣に寝そべるユラを優しく抱き締める。少し血を流し過ぎたかしら…薄れゆく意識の中、大きな爆発音と共にルフィがクロコダイルを倒す場面が脳裏を過った。
ーーーーーー
カチャカチャと何かがぶつかる音が聞こえふと意識が戻る。目を開ければ見慣れない天井に身体を起こそうとした時、ズキリとお腹に鈍い痛みを感じた。
「おぉっ!目を覚まされましたか!」
「ここは…。」
周りを見渡せばルフィ達が死んだ様に眠りに着いている。驚いた様に駆け寄る老爺はお医者様らしく彼の話を聞けばここは宮殿内にある1室らしい。
「っ!ユラは!?」
「あの少女ですか?その子なら貴女の隣に。」
彼の指差す方に目を向けると私の服をしっかりと掴み眠っているユラの姿にホッと安堵する。
「余程、貴女と離れたく無かったのですね。治療の為離そうとしたのですがまったく離れなく。」
「…ご迷惑をおかけしました。」
顔を綻ばせる彼はビビを呼んでくると1度部屋を出て行った。皆の寝息が聞こえる中、力が抜けた様にベットに身体を倒した。
「終わった…のね…。」
ふと横に顔を向ければ大きないびきをかいて眠っているルフィの姿。死闘を繰り広げていただろうにそんな事を思わせない程、穏やかな寝顔をしている。
「お疲れ様…。」
投げ出された手を掴む事は出来なかったけど私の思いが伝わったのか、ルフィは幸せそうに顔を綻ばせていた。
(花子さんっ!目を覚ましたのっ!?)
(これビビ…皆寝ているのだからもう少し静かに…。)
(だってパパっ!)
(…。)