第14章 アルバーナ
花子の無事を確認し安堵したルフィとビビ。それと同時に抑えていた気持ちが溢れ出したのかビビは唇を噛みルフィにしがみ付いた。
「ルフィさん…ペル…広場の砲撃まで時間がないの。もう皆やられちゃったし…!私の【声】はもう…誰にも届かない…。」
やっと届いた自分の思いもクロコダイルに阻まれもうすぐこの地は彼の思惑により壊滅する。自分の無力さに涙を流すビビをルフィはぎゅっと抱き締めた。
「心配すんな!お前の声なら俺達に聞こえてる!もう…負けねぇさ!!」
お前の思いは無駄にはしねぇと笑顔を見せるルフィにビビの瞳に光が灯る。
「悪ぃ、皆。俺、あいつにいっぺん負けちまったんだ。だから…もう負けねぇ!後よろしく!!」
「おめぇが勝てなきゃ誰が勝てるってんだ!!」
「さっさと行ってこい…!」
「ルフィ…。」
仲間のいる場所に降り立ち彼等に背中を押され気合を入れ直したルフィに花子が声をかける。チョッパーに手当てをしてもらっているが苦しそうに呼吸を荒くする彼女をルフィはぎゅっと抱き締めた。
「花子…すまねぇ…。」
「ふふっ…大丈夫よ…。」
優しく頭を撫でた後、花子はルフィの額に口付けし柔らかく微笑んだ。
「絶対、勝つのよ。」
「あぁっ!全部終わりにするぞっ!よおぉしっ!!」
皆の思いを拳に込め高く飛び上がったルフィはこの国を解放する為にクロコダイルの元に向う。
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ルフィを見送った後、ゾロ達は後10分で広場から直径5kmの範囲が爆破されてしまう事を知る。早く爆破を止めないと"アラバスタ"は本当に崩壊してしまう。
「皆、早く爆破を止めて…。広場から5kmならきっとその付近にある筈。っ…チョッパーは鼻が利くから火薬の匂いを嗅ぎ分けて。」
「でも花子がっ…!」
「俺が抱えるか?」
「今はっそんな事に人員を割いている場合じゃないのっ!」
もし爆破を止められなければビビの努力も自分達の命も全て終わってしまう。語気を強める花子に皆はぐっと押し黙る。
「私なら大丈夫…ここで待ってるから全てが終わったら迎えに来て…?」
「…分かった。」
「取り敢えず私達は爆弾を見つけましょ!」
慌ただしく走り去って行く仲間の背中を見つめ花子はふとユラに視線を移した。