第14章 アルバーナ
ビビが落下していくのと同時に花子が彼女の元へ飛び出し強くその身体を抱き締めた。
「最後は心中か?泣かせるじゃねぇか。」
「…そうかしら。」
ニヤリと笑みを浮かべる花子に違和感を感じるもさして気にする事無く、クロコダイルは身を翻し姿を消した。
「花子さんっ!どうして!?」
「ビビ…大丈夫よ、貴女の声はきっと皆に届くわ。」
そう優しく微笑んだ後、花子は両手にチャクラを込め上にビビを押し上げた。その時、太陽の光の中から一直線に落下してくる黒い影が見えた。
「クロコダイルー!!」
辺りに響き渡る程の雄叫びを上げたのはハヤブサ化としたペルの背に乗ったルフィだった。彼の無事を確認したビビの瞳からは涙が溢れ、落下していく彼女の身体をルフィは受け取った。
「ルフィさんっ!花子さんがっ!」
「何ぃっ?!おい!早く下に行けっ!」
自分を見下ろし慌てた様子のルフィ達を見つめ花子はいつもの様に穏やかな笑顔を浮かべていた。
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花子 side
まったく…ルフィたら、遅いのよ…。1度負けたとしても彼がこのまま黙っている筈が無いとは思っていたけど、少し寄り道し過ぎじゃないかしら?
「くそっ!間に合えっ!」
「花子さんっ!」
私に構っている暇があったら早くクロコダイルをぶっ飛ばしに行きなさい。どんどん地面へと近付いていくのを感じながらそんな事を思う。
(さて…どうしましょう。)
クロコダイルの鉤爪は毒でも塗っていたのか身体に力が入らない。このままだと地面に叩き付けられてしまうな等と呑気に考えていると、ルフィの背後から物凄い勢いで迫ってくる真っ赤な影が見えた。
「どわっ?!何だっ!?」
「あれはっ!?」
ルフィの側を横切りぐんぐん近付いてくるそれは地面に激突するよりも早く私を受け止め大空へと舞い上がった。
「朱雀…あなた、命令無視したわね。」
『…仕方無かろう、我にとって主が1番なのだから。』
因みにユラはゾロ達に預けて来たから心配するなと言う朱雀に、今回ばかりは助かったので目を瞑っておこうと思い温かな羽にそっと頬を寄せた。