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海賊王の懐刀

第14章 アルバーナ


違う…そんな筈がない。もし自分の考えている通りならば自分達は何の為に戦ってきたのだと、コーザはぐっと唇を噛み締めた。

「ビビ!雨を奪ったのは誰だ!?」

「っ何もかも…!」

「俺だ。お前達が国王がやっていたと思っていた事は全て我が社が仕組んだ罠だったのさ、コーザ。此処に来なければ何も知らずに幸せに死ねたのにな…クハハハ!」

クロコダイルの言葉がコーザを絶望へと叩き落とす。身体を震わせる彼にコブラが耳を傾けるなと叫び、ビビも今反乱軍を止められるのは彼しかいないと懇願する。

「そんな事を俺が許すとでも思ったか?」

「ビビっ!」

クロコダイルの鉤爪がビビを捕えようとしたがチャカがそれを阻み、2人に向かって戦いを終わらせるよう叫ぶ。

「降伏の白旗を!今すぐ降伏しなさい!国王軍!」

「戦いは終わった!怒りを治め武器を捨てろ!国王軍にはもう戦意はない!!」

2人の決死の叫びが届いたのか互いの軍が動きを止め戸惑いを見せている。これで戦いが終わる…そう安堵した時、一発の銃声が辺りに響き渡った。

「コーザっ!?」

「ぐっ…!」

「…B.Wっ。」

聞こえた銃声は国王軍の方からだった。花子が目を凝らしそちらを見つめるとB.Wの構成員が銃を構えていた。騙し討ちをされたと怒り狂った反乱軍に国王軍も対抗する。もう自分の声は誰にも届かないと、その場に崩れ落ちるビビの背後に砂に変化したクロコダイルが現れた。

「しまっ…!?」

「おっと…お前は動かない方が良いぜ、花子。少しでもお姫様の命を長引かせたいならな。」

逸早く気付いた花子が行動を起こそうとしたが傷のせいで僅かに反応が遅れてしまった。チラリと彼女の方を見た後、クロコダイルはビビの首を掴み上げる。

「目ぇ覚ませ…お姫様。見苦しくてかなわねぇぜ、お前の理想論は。」

「見苦しくたって構わない…!理想だって捨てない…!私はこの国の王女よ!お前なんかには屈しない!!」

「…可愛げのねぇ女だ。」

顔を顰めたクロコダイルはビビを持ち上げたまま砲撃台へと足を進め、突き出されたビビの下には足場がなく戦場が広がっている。

「教えてやろうか…お前にこの国は救えねぇ。」

耳元でそう囁いた後、彼女の首を掴んでいた手が砂に変わりビビの身体は戦場へと落下していく。

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