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海賊王の懐刀

第14章 アルバーナ


能力者であるクロコダイルに何故打撃が効いたのか?そんな事を考え呆気に取られているチャカの方へ振り返り、今度は彼を花子は鞘で殴り飛ばした。

「ぐっ…?!」

「花子さんっ?!どうして!?」

「っ〜!いったいわねっ…!」

不可解な彼女の行動に戸惑っているビビをよそに刀を鞘に納め花子は地面に横たわっているチャカの胸倉を掴み上げた。

「っあなた馬鹿なの!?此処で死んで何になるの!国の為、王やビビの為に命を捧げます?ふざけんじゃないわよ!本当に2人を…国を守りたいなら、生きてその命を捧げなさいよ!」

「しかしっ私はっ…!」

「死んだらねっ…そこで終わりなのよっ!」

死んだ者は還って来ない、残されるのは悲しみだけ…。今にも泣き出しそうな悲痛な花子の叫びに、チャカはハッと目を見開く。

「申し訳…ありません…。」

「…どうしてもこの国の為に死にたいって言うなら、馬車馬の様に働いて過労死しなさい。」

「ハハ…承知しました。」

項垂れるチャカの胸倉から手を離した花子は痛みに耐える様にその場に崩れ落ちる。既の所でチャカが受け止めたがその呼吸は荒く腹からは血が滴り落ちていた。

「花子さんっ!酷い怪我っ…!」

「っ大丈夫よ…それより早く爆破を止めないとっ…!」

「…止められねぇぜ。」

爆破予告まで30分は切ってしまっている。早く他の仲間にも知らせて爆弾を止めないとと花子が立ち上がろうとしていると、クロコダイルがニヤリと笑みを浮かべていた。

「流石は海賊王の懐刀と言われた剣姫だな。すっかり腑抜けになっちまったとばかり思っていたが…まだその牙は折れてねぇみたいだ。」

「クロコダイルっ…!」

花子に殴られた頬を手の甲で拭い何故か嬉しそうに笑うクロコダイルをビビが睨み付けていると、1人の青年が勢い良く飛び出してきた。

「ビビっ!」

「コーザっ!?」

反乱軍のリーダーであるコーザは目の前の光景に驚愕している。何故、国王が国の英雄であるクロコダイルに殺されかけているのか。

「クハハハハ!面白ぇ事になった!互いのリーダーが此処で顔を合わせちまうとは。もはやこの戦争は首をもがれたトカゲの殺し合いだ!」

愉快そうに高笑いを上げるクロコダイルの言葉にコーザは最悪のシナリオが頭に過る。

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