第14章 アルバーナ
ビビの案内の元、宮殿の中に入った花子達は更に奥へと進む。大広間の様な場所に出るとそこには国王軍の兵士達が身を潜めていた。
「ビビ様!!」
「チャカ!」
チャカと呼ばれたオカッパの男が慌てた様子でビビに駆け寄る。何かを話しているビビに彼は驚愕した様に声を上げた。
「正気ですか?!そんな事をしたら…!」
「この国が終わっちゃう?違うわ。ここは"アラバスタ"じゃないもの。"アラバスタ王国"は今傷付け合っている人達だもの。彼等がいて初めて此処は【国】なのよ!」
「!!」
「戦いを数秒止めるだけでいい、後は私が何とかするから。…宮殿を破壊して!」
ビビの言葉に兵士達からは動揺の声が上がる。城とは言わば国の象徴。それを破壊する事がどう言う事なのか。しかし、国民がいて初めて国が成り立つ。彼等がいれば何度だって"アラバスタ"は再建できるとビビは力強く言い放った。
「仰せのままに!」
「彼女、良い王女になるわね。」
『あぁ。』
跪きビビに頭を垂れるチャカに兵士達はどよめくも王女の命ならはそれに従うしかない。彼の指示により宮殿内が大急ぎで火薬の設置の準備が行われる中、少しの間で逞しくなったものだと微笑む花子にチャカが視線を移す。
「…ビビ樣、彼女達は?」
「紹介するわね!彼女は花子さん、私を此処まで送り届けてくれた人達の仲間よ。」
「初めまして。」
続いてユラ、朱雀と紹介を終えチャカはビビを無事に送り届けてくれた事に深く頭を下げ礼を言う。
「ビビ様を此処まで送っていただき…何とお礼を申したら良いのか。」
「私は船長の指示に従っただけ…お礼ならあの子に言って。」
それでもと何度も頭を下げるチャカに苦笑いを浮かべていた花子だったがその顔が険しくなり宮殿の庭の方に走り出す。突然の彼女の行動に慌てて後を追い掛けたビビ達の耳には此処にいる筈の無い声が飛び込んできた。
「困るねぇ、Ms.ウェンズデー。此処は俺の家になるんだぜ?いいもんだな、王宮は。糞共を見下すにはいい場所だ!」
「クロコ…ダイル…!?」
王宮の門の上で愉快そうに立っているクロコダイルの姿にビビは顔を青ざめさせる。彼が此処にいると言う事は…ルフィは…。そんな最悪の状況を想像しているとMs.オールサンデーと磔にされた男が現れた。