第14章 アルバーナ
まだ諦めていないビビにホッと安堵した花子が反乱軍を追う為に立ち上がった時、こちらに近付いてくる人影が見えた。
「ビビ!無事か!?」
「ウソップさん?」
現れたのは作戦の為別の門へと向かっている筈のウソップだった。彼は馬に跨り早く反乱軍の元に向かおうとビビに手を伸ばす。
「ビビだけでも早く乗れ!」
花子には目もくれずそう叫ぶウソップをビビは不審に思った。いくら一刻を争う事態と言えど彼が傷付いた花子を心配しない事などあるだろうか。
「…ウソップさん、証明して。」
「俺を疑うのか?ほら!」
袖を捲り彼は包帯の巻かれた腕をビビに見せつける。それを目にしたビビの身体が一瞬強張り口を開こうとした時、花子が彼女の腕を掴み引き寄せる。
「…カルー!行きなさい!」
『クエーッ!』
「えっ?!花子さん!?」
花子の声にカルーは自分の背にビビを乗せると【南門】に向かって勢い良く駆け出していく。引き返す様にビビに言われるもカルーはそれに従う事はなかった。
「ビビ!大丈夫よ、すぐに追い付くわ!」
後ろを振り返れば柔らかく微笑む花子の顔にビビはぐっと唇を噛むと彼女に向かって叫んだ。
「花子さん!待ってるから!」
「えぇ。」
自分の…この国の為に彼女達は命をかけてくれている。ならばその思いに報いようとビビは気持ちを引き締め前を見据えていた。
ーーーーーー
「…なぁんでバレちゃったのかしら〜?」
ビビが去った後、変身を解いたMr.2は苦々しげに顔を歪め花子を睨み付ける。自分の変身は完璧だった。なのに何故正体がバレたのか。
「今後は自分の手の内は明かさない事をオススメするわ。」
ーいいか、オカマ野郎の変身は完璧だ。いつこの中の誰かに成りすましビビを狙ってくるか分からねぇ。少しでも怪しいと思ったら腕の包帯を取って印を見せろ。それができなけりゃ偽物だ。ー
表面上だけ変えても敵は同じ事をしてくるだろう。だから彼等は記したのだ。
ーこれから何が起こっても左腕のこれが…仲間の印だ!ー
本当の仲間の証を…。